ロシアと中共(中国共産党)が国際社会から孤立している中、5月16日にロシアのプーチン大統領が北京に到着し、2日間の訪問を開始した。この訪問における両国首脳の会談の背後にある意図が、注目されている。
プーチン大統領は、5月16日の早朝に北京に到着し、その日のうちに中共党首習近平と会談を行った。これはロシアとウクライナの紛争が始まってから4回目の「プーチン・習近平会談」であり、中国がプーチン氏にとって再選後初めて訪れた国となった。中共のメディアは、習が会談でプーチン大統領の再選を祝福したことを伝えている。
台湾の国防安全研究院の助理研究員、鍾志東氏は、「プーチン氏が再選後の最初の外国訪問で、急いで中国に向かったのは、戦略的パートナーである中国との関係を維持し、ロシア・ウクライナ紛争における支援を確保し、国際的な孤立からの脱却を図る狙いがある」と分析している。
その日、プーチン氏は記者会見において、ロシアと中国の間の貿易や投資がしっかりと保護されており、他国の影響を受けていないことを強調した。
鍾志東氏は次のように述べている。「現在、西側の経済制裁を課せられているロシアにとって、中国との経済的な貿易関係は極めて重要だ。中国はロシアにとって不可欠な貿易パートナーであり、経済的な支援を通じて、ロシアのウクライナ侵攻を支援している」
ロシアのウクライナ侵攻が、2年にわたって続いており、中共は秘密裏に、ロシアを支援していると見なされ、その結果、米国やその他の西側諸国から批判と制裁を受けている。
5月16日、中共とロシアは「全面的な戦略的協力パートナーシップ」と呼ばれる共同声明に署名し、それを発表した。しかし、2年前の声明と比較して、「両国の友情には限界がなく、協力にタブーは存在しない」というフレーズは削除されていることが注目される。
鍾志東氏の見解:「中国は、ロシアとの関係において、複雑な立場をとらざるを得ない状況にある。一方では、欧米からの経済的な貿易、技術、市場アクセスが不可欠だが、他方では、中国はロシアとウクライナの紛争によって利益を得ている国の一つとも言える。ロシアから低コストで石油や天然ガス、その他の資源を購入し、それらを加工して、ロシアに製品を輸出している」
専門家によると、中共とロシアの協力関係には、双方に計算があると考えられている。しかし、中共の二面的な戦略は、国際社会から見透かされている。
鍾志東氏のコメント:「中国はロシアへの製品輸出を行いつつ、政治的な理由で、欧米との経済貿易関係が損なわれることを避けたいと考えている。彼らは自己に有利な計画を策定しているが、相反するものを同時に得ようとする戦略は、大きな課題にぶつかる可能性がある」
台湾の淡江大学ヨーロッパ研究所の副教授であり学科長も務める鄭欽模氏は次のように述べている。「中共は、国内での生産能力の過剰という問題に対処するため、欧州との関係を急ピッチで改善することが求められている。ロシアとウクライナの紛争における中共の立場は、欧州の国々が、中共にとっては、最も受け入れがたいと感じる問題だ。このような状況の中で、ロシアは中共にとって、国際戦略的な負の資産となりつつあるのだ」
5月17日、プーチン大統領はハルビンで開催されるイベントに出席するために訪れた。ハルビンの住民の情報によれば、プーチンの訪問についての話題は、既にデリケートなキーワードとなっていた模様。学校は保護者に対し、子供たちが不用意な発言をしないよう注意を促し、この件に関連する投稿をしないよう指導され、万が一投稿した場合には、すぐに削除するよう指示がでていたという。
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