5月6日、フランスのマクロン大統領と欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長はパリで中国共産党(中共)党首の習近平と会談し、貿易不均衡とウクライナ戦争に関する懸念を強く伝えた。
欧州連合(EU)は、中国市場における公平なビジネス機会や過剰な政府補助金の是正を求めるとともに、ロシアに影響力を行使しウクライナへの侵攻を止めるよう求めた。
会談後、フォンデアライエン委員長は、パリでの対話では地政学的な課題、気候変動、EUと中国の経済的なつながりが主要な議題だったと公表した。
EU、中共に不均衡な貿易関係の是正を求める
習近平の欧州訪問は、EUと中国の間で商業的緊張が高まる中、行われた。
欧州委員会は、欧州の医療機器メーカーが中国市場で公平に扱われているかどうかを調査し始めたほか、中国の風力タービンメーカーへの政府補助金や、太陽光パネル、電気自動車(EV)、鉄道産業への支援についても調査を進めている。
一方で中国は、フランス製ブランデーに対する報復調査を実施している。
ロイターによると、マクロン大統領はEUと中国の会談で、特に貿易分野における構造的問題の解決が必要だと強調した。
「ヨーロッパの未来は、中国との関係をどれだけバランス良く築けるかにかかっている」と述べた。
フォンデアライエン委員長は、不公平な市場アクセスと政府補助金がEUと中国の関係に悪影響を与えていると指摘した。彼女は会談後に「世界は、過剰生産された中国製工業品が市場にあふれる状況を容認できない」と述べた。
「ヨーロッパは、経済と安全を守るために必要な厳しい決断を断固として実行する」と強調した。
フォンデアライエン氏の貿易方針は同盟国であるアメリカと一致している。4月5日、アメリカのイエレン財務長官は中国訪問中に「アメリカは、自国の新興産業が中国からの安価な輸入品によって損なわれることを許さない」と明言した。
イエレン氏はさらに、「中国の生産能力は国内需要を大きく上回り、世界市場が処理できる量を超えている」と指摘した。
習近平は欧中間の協力促進を訴え、公式声明で「ヨーロッパとの関係は中国の外交政策の中心であり、双方が対話と協力を続けるべきだ」と述べた。
露ウの紛争がEUと中国の関係に影響
パリでの会談では、貿易問題に加え、ロシアとウクライナの紛争がEUと中国の二国間関係における難題の一つとして取り上げられた。
フォンデアライエン氏は「会談で最初に議論されたのは地政学的な状況で、特にロシアとウクライナの紛争や中東の問題が挙げられた」とし、EUは北京に対し「ロシアに影響力を行使しウクライナへの侵攻を止めるよう求めた」と述べた。
フォンデアライエン氏の発言によれば、EUは中国企業がロシアへ軍民両用物資を供給していることに懸念を示している。
「この戦争がウクライナとヨーロッパの存亡に関わる重大な性質を持っている以上、EUと中国の関係にも影響を及ぼしている」と述べた。
パリでの会談では、EUは中国共産党の習近平党首と中東問題についても協議し、EUはイランの弾道ミサイルやドローンの拡散を防ぐため、北京に役割を果たすよう求めた。
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