中国人民銀行の周小川・総裁は2月26日と27日中国上海で開催された20カ国・地域(G20)財務相および中央銀行総裁会議の直前に行われた記者会見において、中国および世界経済の現状から、人民銀行の通貨政策は「穏健でやや緩和的」と発言した。
中国著名投資家で総合金融情報サイト「喜投網」の黄生・代表取締役社長は27日、ミニブログサイト「新浪微博(シナウェイボー)」に投稿した評論で、人民銀行トップが現行の通貨政策が「穏健かつやや緩和的」と示したことは、実際のところより緩和である可能性が高いと分析。2008年世界金融危機発生後、中国当局はいかなる場で「適度な緩和」政策の実施を表明してきたが、実際には「極度な緩和」だった。その翌年、マネーサプライの一つ指標であるM2供給量が前年同期比30%急増し、新規信用貸付が約10兆元(約173兆円)が増加した。
また黄生氏は過去数年間人民銀行は「穏健」な政策を行っており、その結果毎年M2の増長率は13%の水準で推移してきたため、「穏健かつやや緩和」との方針では今年以降のM2増長率は14%以上に達するとの見通しを示した。通貨供給量の急増で人民元の下落、インフレ圧力の拡大と急激な物価上昇が予測される。
人民銀行の最新統計によると、今年1月の金融機関によると新規人民元建て貸付総額は前年同月比で約1兆元(約17兆円)増加の2兆5100億元(約43兆円)、単月として過去最高となった。また1月社会融資規模も同1兆3700億元(約24兆円)増の3兆4200億元(約59兆円)で、事前予想の2兆5000億元を大幅に上回った。1月のM2は同2兆元(約35兆円)増加した。
同行の統計では、明らかに中国政府は景気刺激を目的に過剰に市場に通貨供給を行っている。黄生氏は現在中国経済は、2008年「4兆元刺激策」で信用貸付の急拡大でもたらされた生産過剰問題で苦しんでいるにもかかわらず、今後極度な緩和的通貨政策で生産過剰問題が一層深刻になると警告した。
(翻訳編集・張哲)