【大紀元日本10月18日】英国の学校には教科書がないが、カリキュラムはあった。親しくさせていただいた2年生の担任の先生から、 なぜか指導書のコピーをもらったことがある。バイリンガル子育てのため、学校で何をしているのか首をつっこみたがる親だったからかもしれない。
市役所の教育委員会にあたるようなところが発行していたと思う。その時のテーマが、地元で有名な絵画を取り上げることだった。隣の港町で漁師が魚を引き上げている有名な絵画があり、それをテーマに、当時の生活や漁業について話を発展させていこうという内容だった。なるほど、こういうしくみだからテーマをこなすために、いきなり仮装で登校ということになるわけだ。
また、娘が小学校に入る少し前に、小学校2年生と6年生にKey Stageという全国統一試験が導入された。教育省が設定したレベルに生徒が到達しているかを測るもので、その結果が、全国紙に一斉に発表される。公立も私立も混合で、県ごとに全校がランク付けされる。というわけで、 家の子の学校のレベルが一目瞭然で全国紙に掲載される。校長先生が代わると、ヨーヨーのように学校のランクが変わることもあり、結構、明確に顕れていた。結果重視だ、数字で子供は測れない、という声もあったが、教科書もなく、内部の様子が分からない親にとっては、結構大切な指標だった。サッチャー政権のお年子だったようだ。
娘の通っていた小学校は、試験に前向きだった。担任が個人的に査定している生徒のレベルが、公式の場で確認できて良いと当時の教頭先生が話していたのを覚えている。そして、2年生の試験は、「もっとやりたい」なんていう声が上がるほど、結構楽しく行われたようだった。これはひとえに、子供からの関心を大切に育んでくれた、優れた担任の先生のおかげだったと思う。
著者プロフィール:
1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。
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