中国農村部の留守児童、約8割が心理的な問題あり

【大紀元日本1月18日】12歳の小菲(シォウフェイ)は活発で素直な女の子だった。両親が生計のため広州に出稼ぎに行ったあと、彼女はお婆さんと暮らすことになった。次第にぼんやりすることが多くなった小菲は、だんだんと神経質になり、攻撃的で親を敵視するようになった。また、嗅覚の幻想まで現れ、普通の人が嗅ぐことのできない異臭に悩まされるようになった。

そんな小菲には精神障害や児童精神分裂症の症状が現れていると医師は診断した。「小菲のような児童精神分裂症や孤独症などの精神問題で入院している留守児童患者は毎年、当院に少なくとも50症例以上ある」と同医師は広東省地方紙・羊城晩報に話した。

2008年に中国当局が発表した数字によると、片方または双方の親が出稼ぎをしている農村部の留守児童は全国で5800万人に上り、うち14歳以下は4000万人以上を占めている。これらの児童の8割は長期間親と離れて暮らすことで、様々な心理的な問題を抱えるようになっていると、心理学者の葦志忠氏が行った調査研究で明らかになった。彼らは性格が内向的で自閉的になり、偏屈のため人とうまく交流できなかったり、または、情緒が不安定で、すぐにいらいらして興奮し、強い反抗的な態度をとったり、という2つの傾向があると葦氏は分析している。

2007年に広州市で起きた少年による親の殺害事件も留守児童の心理的問題が引き起こした惨劇だったという。当時16歳の王淘(仮名)がネットカフェにいくお金を母親にねだったところ拒否されたため、2人は激しい争いとなった。怒った王淘は、包丁で自分の母親を殺害した。父親も帰宅後、ドアの後ろに隠れていた王淘に包丁で切りつけられ重傷を負った。

王淘は法廷で「彼らはただ金を稼ぐことしか考えていない、自分をひとり故郷に置きざりにし、面倒を見てくれなかった。彼らは自分に関心を寄せないばかりか、自由をも制限しようとした、彼らを殺してはじめて自分の思いを実現できる」と叫んだという。王淘も留守児童のひとりで、彼が6歳の時から、両親は故郷の河南省から広州に出稼ぎに出ていた。

調査によると、留守児童の親の中で、平均1週間に1回子供と連絡を取っているのが16.2%、1カ月に1回が10.8%、不定期が29.7%で、43.3%はほとんど連絡をとっていない。親子のふれあいが著しく欠ける留守児童は、感性の低下や破壊性、敵意の増幅がみられ、情緒的に憂鬱や焦燥になりやすく、性格上偏屈で卑屈、自信のない子どもに育つ傾向があるという。

広東省、未成年犯罪者管理所の提供した調査研究データによると、刑務所に収容されている未成年犯罪者の中で、留守児童は20.1%を占めている。また、犯罪記録のある成人の農民工のうち、8割は留守児童だったことが広州大学の研究で明らかになっている。

(翻訳編集・張凛音)
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