【生活に活きる植物】 27・蘇鉄(ソテツ)

【大紀元日本2月4日】ソテツは九州南部から沖縄県に自生する裸子植物で、ソテツ科常緑低木。南国情緒いっぱいの観葉植物として人気があります。幹は高さ3m前後になり、葉根に覆われ、雌雄異株です。葉は羽状複葉で1m以上になります。雄花は茎と同じくらいの太さで長さ50~70cmの松笠を長くしたような形で、多数の大胞子葉の集合した雌花は直径30cmにもなる球形です。長さ2~4cmの扁平な朱赤の種子が熟します。この種子を陰干しして乾燥させたものが生薬の蘇鉄実(そてつじつ)です。

【学名】Cycas revoluta
【別名】鉄樹 、鉄蕉(てっしょう)、鳳尾蕉(ほうびしょう)
【成分】サイカシン、たんぱく質、脂肪、リンゴ酸、ホルムアルデヒドなど

【薬用効果】蘇鉄実は強壮剤で、咳止め、胃痛に有効です。1日に乾燥物5~15gを煎服します。外用には適量を使用します。ソテツの葉は止血、解毒効果があり、1日量250gを煎服します。また、肺がん、胃がん、肝がんにナツメとともに処方されます。根や花は血行を良くし、根には腎機能を高める効果があります。ただし、有毒成分を含むので注意が必要です。中毒症状は神経毒による麻痺で死にいたります。また、分解物には発ガン性もあります。

【食用】奄美地方では、種子の粉末を水に晒してデンプンを取り出し、ソテツ餅が作られます。また、緊急時には幹からもデンプンを採り、食料の足しにしました。有毒成分が含まれるので、水に晒して毒を抜きます。

【余談】蘇鉄の由来は弱った樹の根元に鉄屑を埋めたら蘇ったからだと言われています。古生代から中生代にかけて繁栄した植物で、生長が非常に遅く、何万年も生きぬいた生きた化石です。世界的に種類が多く、堺市、清水市、静岡県吉田町には三大ソテツがあることで有名です。1年中日光が当たるところであれば栽培も容易で、九州地方には公園など各所に多く植えられ、観賞用の鉢植えも可能です。

ソテツの実

ソテツの雌花

ソテツの雄花

(文/写真・ハナビシソウ)