中国のわけあり? 寺の塀をハシゴで乗り越える人たち

【大紀元日本2月19日】大勢の人たちが寺の正門から入らずにハシゴを使って塀を乗り越え、次々と境内に飛び降りる。もしそんな光景を目にしたら、人はどう思うだろうか。緊急避難か、それとも映画撮影かと考えるに違いない。実は、参拝者たちが金を払わずに寺に入りたかっただけなのだ。

 ■ 侵入者たちの言い分

中国の旧正月(2月3日)、教の聖地である法門寺(西安)で実際にあったひとコマである。ユーチューブで見て、あまりの情けなさに嘆き悲しんだ。しかし、侵入者たちにも立派な言い分があり、そっちもどうやら一理ありそうだ。

彼ら曰く、120元の入場料は月給の10分の1で高すぎるというのだ。準公務員のお坊さんたちは、国から高い給料をもらって高級車を所有し、愛人を作り、豪遊している。彼らが高い入場料で自分たち参拝客から絞り取るなんてひどい、というわけだ。不正をもって彼らの不正に立ち向かうのは、何も悪いことではなく、目糞鼻糞を笑うようなものだ。彼らはお釈迦様舎利をもって、ひたすら金儲けしており、参拝者が彼らの業を深める入場料を払わずに、仏様を拝むことは、よりクリーンであり慈悲なのである…。

一方、侵入した参拝者たちは、タダでこの聖地に入れるわけではないらしい。おのおの10元のハシゴ代がかかる。地元の人たちがハシゴを提供し、商売をしているのだ。まあ、お互いに恩恵を受けられて、いいのかもしれない。

■ 法門寺と唐太宗

後漢時代に建立された法門寺は、唐の時代にもっとも興隆した寺院。西安から138キロ離れた扶風県の北にある。仏教典籍や仏教文化の遺跡が多くあり、とりわけお釈迦様の指の舎利を供養する寺として有名だ。唐太宗をはじめ、唐の皇帝が8代にわたり、6度も供養に訪れた。

唐朝の第2代皇帝・太宗(たいそう)は、自ら仏法を敬い修行して守り、その教えを広げた功績はきわめて大きい。貞観5年(631)、太宗は法門寺の地下宮殿に保存されている仏舎利を一般に公開するよう勅令を下した。仏の舎利を公開したのは、歴史上その時が初めてである。

『法苑珠林』の記載によると、この公開に集まった数千人が仏舎利を仰ぎ見る事ができ、仏や菩薩、五色の光などが空中に見え、盲人の目が見えるようになるなど数々の奇跡が起こったという。しかし、唐太宗が一般公開した目的は奇跡や文化的次元のものを求めたのではなく、「令生善」(衆生に善を生じさせる)ためであった。

もっとも、この「令生善」こそが、お釈迦様が仏法を伝えた目的の一つであり、仏教のあるべき姿なのである。

 ■ 仏様はいかにお思いか

1987年4月3日、法門寺の地下宮殿で、お釈迦様の指の舎利が千年ぶりに再発見され、仏教界の一大慶事となった。その後、法門寺の名声は一段と高まり、参拝者が後を絶たない。現在の法門寺は敷地が広く、立派に立ち並んだ仏殿は実に壮観たるものである。

仏舎利や仏教経典、遺跡などが多く保存され、仏閣が雄大であることは文化的に素晴らしい。しかし、それが仏教の根本的な目的に還元されうるかどうかは、疑問である。

仏法はそもそも哲学や宗教など文化的なものではなく、ただ修行するのみだ。いつの間にか、仏法そのものの本質が変化し、一種の文化的イベントや商業活動として営まれ、人々の幸せや健康を願う対象物とされるようになった。

このような僧侶や信者を、仏様はどのようにご覧になるだろうか。仏法を歪曲し、侮辱し、撹乱するもろもろの行為を見て、嘆かれているにちがいない。

末法の世に「令生善」が出来なくても、せめて「令生悪」にならなければいいのだが…。

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