米国 中国企業製部品を排除 FCC規制がサプライチェーン上流へ

2026/07/29 更新: 2026/07/29

論評

7月22日、米連邦通信委員会(FCC)は国家安全保障上の懸念を理由に、中国企業が製造した論理演算機能を持つハードウェア部品を搭載した機器の販売を禁止した。

FCCのブレンダン・カー委員長は、「部品規制の抜け穴を完全にふさぐ」と表明した。安全上の懸念がある部品、特に半導体や通信部品は、機器全体の機能を損なったり、不正操作に悪用されたりする恐れがあるためだ。

今回の措置は、アメリカがこれまで中国製の完成品を対象としてきた「完成品単位の禁止」から、サプライチェーンの上流にまで踏み込み、「部品単位で封じ込める」段階へと規制を強化したことを意味する。

FCCによる規制の経緯

FCCはアメリカの通信業界を監督する機関である。

2021年3月12日、FCCは「2019年安全で信頼できる通信ネットワーク法」に基づき、アメリカの国家安全保障に「容認できないリスク」をもたらす企業を掲載した規制対象リスト「Covered List」を初めて公表した。

対象となったのは、ファーウェイ、ZTE、海能達通信(ハイテラ)、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ)の中国大手テクノロジー企業5社である。

当時の措置は、連邦政府の補助金を、これらの企業の機器やサービスの購入に使用することを制限するものにとどまっていた。

その後、FCCは複数の通信事業者やネットワークサービス企業を相次いで規制対象リストに追加した。2022年3月25日には、中国電信米州法人と中国移動国際アメリカ法人を追加した。

同年9月20日には、中国聯通(米州)運営会社、パシフィック・ネットワークス、同社の完全子会社コムネットUSAを追加した。

アメリカ政府は、これらの中共国有通信事業者が中国共産党(中共)の直接的な支配下にあり、アメリカ内に設置したネットワーク拠点や通信回線を通じて、データの傍受、通信経路の乗っ取り、スパイ活動などを行う恐れがあると判断した。

2022年11月、FCCは新たな規則を採択し、ファーウェイなど規制対象企業の新しい通信機器や映像監視機器について、アメリカ内での販売に必要な認証を与えないことを正式に決めた。

ただし、この時点で規制の対象となったのは新製品だけだった。規制は過去にさかのぼって適用されず、すでにFCCの機器認証を取得していた旧型製品については、従来の認証を引き続き有効とし、販売を続けることができた。

また、規制対象リストに掲載された中共国有通信事業者については、アメリカ内で通信サービスを提供するための「セクション214免許」の多くが取り消された。

このように、バイデン政権時代のFCCの政策は、すべてを一律に禁止するものではなく、一定の余地を残していた。しかし、中共はその配慮を意に介さず、従来の姿勢を変えなかった。そのため、アメリカが直面する国家安全保障上のリスクは、依然として高い水準にとどまった。

トランプ政権が再び発足すると、こうした状況を容認しなくなった。

2026年6月、FCCは規則を改正し、ファーウェイなど5社が2022年11月以前に取得したすべての認証を正式に取り消した。改正規則は2026年7月16日に発効した。

これにより、新製品だけでなく、10年前に認証を受けた旧型製品も、アメリカ内ではすべて無認証製品となった。輸入、流通、販売のいずれも全面的に禁止した。

すでに販売され、アメリカの通信網で稼働している中国企業製の旧型機器については、アメリカ政府が「撤去・交換計画」を強制的に進めている。

正式名称は「安全で信頼できる通信ネットワーク補償プログラム」で、一般には「Rip and Replace」と呼ばれている。

2020年3月、トランプ氏は「2019年安全で信頼できる通信ネットワーク法」に署名し、FCCが機器の撤去・交換制度を設けることを正式に認めた。

同年12月、FCCは連邦政府の補助金を受けるすべての米通信事業者に対し、通信網からファーウェイとZTEの機器を撤去し、別の機器に交換するよう義務付けた。

2021年9月、アメリカ政府は第1弾として19億ドルの補助金を計上し、計画が正式に始まった。

しかし、その後のFCCの集計では、全米126社の通信事業者が中国企業製の機器を完全に撤去するには、総額49.8億ドルが必要だと判明した。

30.8億ドルもの資金不足が生じたため、計画は延期を余儀なくされた。

2024年12月、アメリカ議会は国防権限法を可決し、30億ドルを超える不足分を補うための資金措置を正式に承認した。

優先順位が最も高い「プライオリティー1」に分類された通信事業者の多くについて、機器の完全に撤去する期限を2026年5月8日とした。

規定を守らない小規模通信事業者、学校、企業には、厳しい法的、行政的、経済的処分を科す。

現在、アメリカの中核通信網に残っていた中国企業製の旧型機器は、ほぼ撤去された。

「新たな部品規制」がもたらす大きな影響

FCCの最新規制は、過去数年間続いてきた「完成品は禁止するが、部品は対象外」というグレーゾーンを正式に終わらせた。

規制が完成品だけでなく、電子機器を構成する部品の段階にまで及んだことを意味する。

新規制には移行期間が設けられておらず、採択された日から直ちに発効した。通販サイトも同時に規制対象となった。

新規制では、新たにFCCの認証を申請する電子機器に、ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョンなどの規制対象企業が製造した「論理処理機能を持つハードウェア部品」が含まれている場合、認証を一切受けられない。

対象となるのは、命令を処理して一定の制御を行い、ファームウェアの更新に対応し、遠隔信号に反応する機能を持つ部品である。将来、内部に潜伏させたコードを作動させる可能性がある部品も含む。

代表的なものには、半導体チップ、IoTモジュール、光通信モジュール、ベースバンドプロセッサーなどのプログラム可能な部品がある。

これにより、世界各地の受託製造企業やブランド企業は、製品の部品表を直ちに精査し、構成を見直さなければならなくなった。

規制対象となる中国企業製の部品を完全に排除しなければ、その製品をアメリカ市場に投入できないからである。

欧米、台湾、東南アジアの第三者ブランドの多くは、内部に中国企業製の重要部品を使用しながら、外装には自社の商標を付け、これまでアメリカ内で合法的に販売してきた。

しかし、新規制の施行によって、その販売経路はほぼ一夜にして断たれた。

アマゾンなど北米の通販サイトで販売している家庭向け監視カメラ、家庭用ルーター、スマートホーム用ゲートウェイなど、多数の製品が全面的な販売停止に追い込まれる可能性がある。

この新たな部品規制は、世界のハイテク製品のサプライチェーン、越境電子商取引、アメリカ内市場に大きな影響をもたらす。

多国籍製造企業は、製品がアメリカ市場から締め出されるリスクを避けるため、規制対象企業の部品をサプライチェーンから完全に切り離さなければならない。

その結果、世界のサプライチェーンの分断がさらに加速し、異なる技術・規制基準に基づく二つの供給網を形成することになる。

アメリカの「理性的な政策対応」と中共の戦狼外交

ただし、FCCの新たな部品規制には、依然として一定の柔軟性が残されている。最初からすべてを一律に排除する内容ではない。

新規制は、ネジ、くぎ、塗料、接着剤、プラスチック製の外装など、演算や論理処理の機能を持たない単純な部品を明確に対象外としている。

また、ソフトウェアやファームウェアも現時点では規制対象に含まれていない。ただし、FCCは将来、これらについても措置を取る可能性を残している。

言い換えれば、アメリカは中共が積極的に対応するかどうかを見極めるため、なお次の手を残しているのである。

実際、FCCの対中政策は段階的に強化してきた。

規制対象は当初の通信基地局設備から、一般消費者向けルーター、無人機、海底通信ケーブルなどの重要インフラ分野へと徐々に広がっている。

例えば、FCCは2025年12月に外国製ドローンとその主要部品を、2026年3月には外国製ルーターを、それぞれ規制対象リストに追加した。

2026年7月21日には、中国製ドローンをさらに締め出すための新たな提案を発表した。公告番号は「DA 26-758」である。

さらにFCCは、国家安全保障上のリスクがあると判断された中国の通信企業と、アメリカ通信事業者との相互接続を禁止することも検討している。

これが実施されれば、対象となる中国系企業は、アメリカ内のデータセンターの運営停止を事実上迫られることになる。

2022年から現在までの間に、中共が戦狼外交に固執せず、アメリカの政策や重大な懸念に対して積極的かつ誠実に対応していれば、規制強化の流れは途中で止まっていたかもしれない。

完成品の禁止から始まり、旧型製品へと対象が広がり、さらに部品、ドローン、ルーター、データセンターの相互接続へと拡大していく流れも、いつでも中断できたはずだ。

そうであれば、米中関係も今日のような状況にはなっていなかったかもしれない。

しかし、中共の硬直的かつ強硬な政策によって、アメリカは規制を一段ずつ強化し、その内容をますます厳しくしていった。

中共は愚か極まりない。

王赫
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