【大紀元日本8月18日】菩提樹と言えば、釈迦牟尼を思い出しますね。紀元前5世紀ごろインドの王子として誕生した釈迦牟尼は仏教の開祖であり、菩提樹の下で悟りを開いたといわれています。
その菩提樹、実は仏教界で同名異木があるのですが、ご存知でしょうか。
釈迦牟尼佛が悟りを開いた聖樹・菩提樹はインド原産クワ科イチジク属の高木インドボダイジュ(Ficus religiosa)です。熱帯性の樹なので、日本では温室にしかみられません。
食用にする無花果(いちじく)と同じく花は咲かず、付いた実は黒くて小さく、食用にも珠数にもなりません。葉の先が細長く伸びているのが特徴です。
インドのビハール州にあるブッダガヤーには、釈迦牟尼が瞑想時に座ったとされる場所に、今でもインドボダイジュの樹が茂っているそうです。
ところが、中国に仏教が伝来した時、葉の形が似ていた温帯性のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュ(Tilia miqueliana)が菩提樹と名付けられ、それが日本に伝わってきたといわれています。枝にぶらさがる小さな実は珠数として利用されています。
菩提樹と実
一方、シューベルトの歌曲の一つ、ドイツ菩提樹のリンデンバウム(Lindenbaum)はヨーロッパ原産で、シナノキ属の近縁種のセイヨウボダイジュです。一言にボダイジュと言っても、いろいろな種類があるのです。
また、釈迦牟尼が入滅した時に咲いていたという沙羅双樹(サラソウジュ)はフタバガキ科の常緑高木ですが、日本ではツバキ科のナツツバキを指します。『平家物語』の「諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色・・・」でもよく知られています。
ちなみに、仏教三聖樹とされるのは印度菩提樹、沙羅双樹と生誕地に生えていた無憂樹(ムユウジュ)です。
(文/写真・吉備)
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