【大紀元日本3月1日】ひな祭りといえば白酒を思い浮かべますが、実は、白酒を飲んだことがある方は意外と少ないそうです。甘酒のことを白酒だと思っている方も多いとか。あやふやになりがちな白酒と甘酒の違い、それから桃花酒についてもご紹介します。
もともとは、桃が百歳を表す「百歳(ももとせ)」に通じることから、桃の花を酒に浸した桃花酒(とうかしゅ)を飲む風習がありました。その後、江戸中期になってから、白酒が好まれるようになりました。白酒とは、蒸したもち米にみりん、または米麹と焼酎などを混ぜて仕込み、約1ヶ月間熟成させた後にすりつぶして作られたもので、アルコール度は10%前後、甘みが強く、酒税法上ではリキュールに該当します。
ひな祭りと白酒が結びついたのは江戸時代。『江戸名所図会』にも「鎌倉町豊島屋酒店 白酒を商う図」として紹介されており、ひな祭りの時期になると、白酒を求める人が遠くからも押し寄せて夜明けから店に並びました。話によると、初代の豊島屋十右衛門の夢枕にお雛様が現れ、白酒の美味しい作り方を伝授したのだそうです。それが江戸中の評判となり、徳川将軍も愛飲するようになりました。こうして、独特の粘りと甘みで女性にも飲みやすく、白色で桃の花との対比もめでたいということで、ひな祭りに白酒を飲む風習が全国に広がっていきました。
面白いことに、「白酒」には読み方が色々あり、読み方で異なるお酒になります。
先程ご紹介したひな祭りなどに用いる甘みの強い「しろざけ」以外に、「しろき」と読む神事に供されるお酒やどぶろくなどのことを「はくしゅ」呼んでいます。また「バイチュウ」は中国酒で、アルコール度数の高い蒸留酒で(本来は50度以上。現在は38度程度が主流)透明。白は透明という意味だそうです。
一方、甘酒は、ご飯やお粥に米麹を混ぜて一昼夜55度前後で保温し、デンプンから甘い糖分を引き出したものです。この方法で作られたものはアルコール度数1%未満なので、甘酒とはいうもののお酒には該当しません。ですからお子様でも安心です。また、一晩でできることから一夜酒(ひとよざけ)とも呼ばれ、昔から手作りの飲み物として親しまれており、ひな祭りの飲み物として取り入れる方が多いのです。甘酒は寒い冬に飲むものという印象が強いのですが、夏の季語になっています。江戸時代、甘酒売りは氷で冷しながら甘酒を売っていました。米麹で作った甘酒はビタミンが豊富に含まれている他、必須アミノ酸なども多く含むので、バテてしまう程の厳しい暑さに襲われる夏場の滋養強壮にはうってつけでした。夏バテ防止の栄養ドリンクとして親しまれていたそうです。
今年のひな祭りにはアルコール分の入った白酒、それとも栄養価の高い甘酒のどちらを飲まれますか?
(文・大鬼)
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