「中国市民は目覚め、共産党は針の筵に座っている」陳光誠氏、英国で演説

【大紀元日本5月25日】中国の盲人・人権弁護士、陳光誠氏が、英国ツアーを終えた。 人権問題に対する努力が讃えられ、英国議会で授賞式に臨み、その後、オックスフォード大学の学生自治会で演説。中国共産党の人権問題に取り組む勇気に欠けた欧米社会に対する遺憾を表した。

オックスフォード大学での演説

陳氏は21日、討論の場として知られるオックスフォード大学・学生自治会(Student Union)で、中国共産党が「独裁主義政権を支える正当性、道義、合法性を失ってしまった。もはや恐れるには値しない。源のない水のように漂っているだけ」と演説した。

共産党政権の衰弱を把握していない欧米諸国に、陳氏はいらだちを感じてきたことが、オックスフォードでの演説から伺える。

「ここ数年にわたり、中国の人々は自分が市民であることを急速に認識してきた。この目覚めは日に日に強まっており、共産党政権は針の筵(むしろ)に座っているようなもの。ただ、諸外国はこの状況を充分に把握していない」

2012年、国内で起きている抗議の鎮圧やハイテクを駆使した複雑な監視ネットワークの維持に共産党政権が費やした「治安維持費」は、7000億元(約11兆5000億円) 。軍事費より高いことを指摘し、当局は国民の市民権意識の台頭に「極めて恐れている」と語った。

陳氏の家族は、彼の活動のために、ひどい報復に遭っている。甥の陳克貴氏は投獄され、急性虫垂炎への医療手当を当局に拒否された。弟の陳光福氏は殴打され、村で嫌がらせを受けている。他の家族にも監視がついている。

自身の家族の現状を始めとする中国の人権侵害の現実を前に、陳氏は「人権会話はもっとオープンで、内容はもっと具体的でなければならない」「問題を直視することこそ問題の解決につながる」と、多くの欧米諸国が中国政府との人権交渉において、未だに「密室会談」にとどまっている現状に危機感を表した。「現状を変えなければ意味がない」。陳氏は22日、ラジオ・フリー・アジアに語っている。

欧米の民主主義国家は、近視眼的な思考で、経済的な取り計らいに簡単になびいてしまい、理念を曲げてきたと陳氏は指摘する。

台湾訪問の予定

来月予定されている陳氏の台湾訪問について、多くの中国系メディアの質問に答え、台湾では立法院での演説が組まれていることを陳氏は認め、両岸関係の平和の基盤は人権にあると語った。「平和の基盤だけではなく、人類共存の基本でもある」と加え、人類最大の脅威は独裁政権であるとした。

台湾でも陳光誠氏が英国同様の力強い演説を行うことが予測されていることを受け、中国の洪磊(ホン・レイ)外交部報道官は23日、「中国市民として、海外ではいかに、母国の威厳を守り市民としての責務を施行すればいいかは、わきまえているはずだ」とけん制する声明を出したと、同日にロイター通信は報じた。外交部のホームページには掲載されていない。

ウェストミンスター賞

演説の前日の20日、陳光誠氏は、人命・人権・人間の尊厳のためのウェストミンスター賞を英国議会で受賞。「陳氏は、現代で最も偉大な人物の1人に数えられる」とリバプールのアルトン卿は語る。人権の擁護者で、今回陳氏をロンドンに招いた発起人だ。「陳氏は母国と中国人を心から愛している。制度に勇敢に立ち向かい、犠牲を払った人物として、陳氏が国家の英雄として中国本土で讃えられる日がきっと訪れる」。アルトン卿は授賞式で100人あまりの参席者を前に力強くコメントした。

 (記者:李景行 Matthew Robertson 編集翻訳:鶴田)
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