虫の知らせ? 遠距離でも身近な人の痛みが分かる

日本では、昔から「虫の知らせ」という言葉があります。なんとなく胸騒ぎがしたら家族に災難が降りかかってきたとか、急に知人を思い出したら、その人が亡くなったと電話がかかってきたりとか…。アメリカでは、身近な人に起きた災難を痛みとして感じてしまった人たちを研究する科学者がいます。

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身と感情についての研究を続けるマイケル・ジャウワー(Michael Jawer)氏によると、身近な人に起きた「痛み」を、遠距離にいるにも関わらず、同時に感じてしまう現象が多数報告されているという。それは、「子供を心配する、いわゆる“母親の直観”のような感覚を超えています」とジャウワー氏は話す。

この「虫の知らせ」の現象については、心と自然治癒に詳しいラリー・ドッシー(Larry Dossey)博士も言及している。彼は、著書『Healing Beyond the Body』と、『Reinventing Medicine』の中で、次の二つのケースを紹介している。ある母親は、娘に手紙を書いている時に、急に右腕が激しく痛みだしてペンを落としてしまった。一時間もしないうちに、彼女に電話がかかってきた。彼女の娘が科学の実験中、酸性の液体で右腕に重度のヤケドを負ってしまったというのだ。

もう一つは、ニューヨークの農場に住む家族のケースである。ある日、家族は全員、仕事を早めに切り上げて帰ってきた。家族8人はそれぞれ、午前中、気分が優れなかったからだ。しかし、彼らは家族の皆が同じような気持ちだったとは気づかなかった。全員が、なんとなく嫌な「虫の知らせ」を感じていた。その日、ミシガン州にいたその家族の一人である息子が、事故に遭って亡くなっていた。

ドッシー博士はこのような現象を遠隔身体反応(telesomatic)と呼び、肯定的にとらえている。例えば、ある女性が突然、窒息するような感覚を覚えた時、ちょうどプールでわが子が溺れかけていた、という場合も考えられる。その場合、母親はすぐに子供を助けることができるかもしれない。しかし、兵士が戦場で片足を吹き飛ばされた時に、家族の一人が急に足が動かなくなるというケースもあり得ると話す。

ドッシー氏は、この分野の研究が継続されることを望んでいる。「第一に、これらの現象は日常的に起こっているからです。過去数十年間に、何百ものケースが報告されています。第二に、すべてのケースにおいて、顕著な特徴があります。それは、この現象が親子、配偶者、兄弟、恋人などの身近な人の間に起きているということです」

身近な人たちの感情や感覚が、なぜ分かるのか。虫の知らせについての研究はまだ続くだろう。

(翻訳編集・郭丹丹)