唐の時代、狄仁傑(てきじんけつ)と婁師徳(ろうしとく)の二人は、武則天に仕える政治家だった。しかし、狄仁傑は常に婁師徳を誹謗していた。
ある日、武則天は仁傑に、なぜ彼女が仁傑を登用したか知っているか、と聞いた。仁傑は、答えた。「私には卓越した才能があり、他人の助けを必要としません。優秀で、徳もあり、また世知に長けています」
すると、武則天は、「実は、私はあなたの事を、よく知らなかったのです」と言った。「ところが、師徳があなたの事を褒めちぎり、推薦するものだから、あなたに今の官位を与えたのです」
そして、武則天は師徳から渡された十数通もの手紙を見せた。そこには、仁傑を褒めたたえる言葉が書かれていた。仁傑は顔を赤らめ、深く恥じ入った。
以後、仁傑は決して奢り高ぶることなく、謙虚に自分の能力の限界を知った。「師徳の徳は計り知れない。自分は常に、彼に許されていた。そして、彼はそれを決して自慢したりしないのだ」と仁傑は感嘆した。
(翻訳編集・郭丹丹)
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