英国内最大の下水処理と水供給を行う水道会社テムズ・ウォーターの分析調査によると、イギリスの下水道から毎年1300万ポンド(約24億円)に相当する貴金属が流れ出ており、その大半が金であるという。十分な経済性が期待されるとして、専門家は微量の金を汚水から抽出する手段を探している。
イギリスの下水道に流れ出る貴金属の大半は、手を洗う時に起こる指輪やブレスレットとの摩擦や、金が含まれる歯ブラシの使用によるものである。また車の触媒コンバーター(三元触媒)から排出される液体の中にも微量のプラチナが含まれている。
金鉱の経済性は金の含有量が1トン当たり1~3グラムと言われるが、下水道から流れる金の含有量はそれと同量で、十分な経済性が期待できる。英カーディフ大学で都市廃水に含まれる貴金属を研究している地質学者・プリチャード氏はこの結果に驚いている。「金鉱から採掘と粉砕する工程は最もコストがかかる。(下水道からの抽出に)採掘と粉砕はいらないので、これが大きな利点だ。環境にもやさしい」
日本でも2009年に長野県の下水処理場から4000万円に相当する金が回収された。これを受けて、各国は下水道から金を採取する有効的な手段を研究している。
(翻訳編集・山本アキ)
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