「自分への思いやりは成功の糧に」 心理学者のアドバイス

初デートや就職の面接でうまくいかなかった時、自分を責めていないだろうか?大きな失敗をしてしまった時、自分で自分を駄目な奴だと決めつけていないだろうか?

米スタンフォード大学の心理学研究員で思いやりと利他主義研究センター主任、エマ・セッパラ博士はこのたび発売した著書「The Happiness Track(幸福の軌道、邦訳無し)」で次のように回答している。「楽しさはおのずから人を成功へと導いてゆくものです。自分自身を思いやることには多くの利点があるのに比べ、自分を責めることは危険ですらあるのです」

セッパラ博士は、成功を治めたいと願うならば、自分自身との信頼関係が他人との関係と同じくらい重要だと述べている。失敗や挫折をしたときに自分を叱責すれば次の失敗を招くだけの結果となるが、落ち込んだ自分をいたわり思いやることができれば、次にはきっと良い結果が生まれるという。

博士は自分を思いやるための簡単なトレーニング方法も提案している。それは、失敗した同僚や友人に接しているかのように、自分自身に接すること。「友達が失敗した時、誰だって間違いを犯すことはあるのだと言葉をかけて励ましますよね。相手の失敗を批判したり断罪したりすれば、友人はますます落ち込んでしまいます。相手の話に真摯に耳を傾け、胸のうちを理解してあげることに勝るものはないのです」

博士はまた、心理学者のクリスティン・ネフ氏の話として、自分を思いやることの具体的な三つの要素を挙げている。

一つ目は、自分の心にポジティブに語りかけること。「大丈夫、失敗したからといって、私がダメな人間ってわけじゃない。まだ不慣れだっただけよ」

二つ目は、誰だって間違うことはあるのだから、失敗するのは当たり前ということを理解すること。

三つめは、おそらくこれが一番難しいだろうが、こうしたネガティブな思考や感情に流されないよう、それらを捨て去ってしまうこと。

博士は「自分を思いやる練習を継続して続けていけば、やがてイライラしたり憂鬱になったりすることが減ってゆき、ストレスを感じても速やかに回復できるようになるでしょう」と述べている。

また博士は以前、米メディアから取材を受けた際に、私たちは自分の周りを変えることはできないけれども、それに対する自分の反応を変えることはできると強調している。ミスをした同僚を慰めるのと同じように自分自身に語りかけることができれば、今回の失敗の原因がどこにあって、どうすればそれを挽回することができるかが明確になり、そうした経験を通じて成長できるようになるという。

この本には、自分を思いやるために大切な四つの方法も記されている。

1.ネガティブな言葉で自分と向き合うことを止めよう。「バカバカ!なんでこんなことしちゃったのよ?」の代わりに「うっかりしていただけよ、大丈夫」と言おう。

2.落ち込んだ友達の心が軽くなり、元気が湧いてくるような手紙を、自分に宛てて書いてみよう。

3.思いやりのある言葉を使おう。「今は辛いけど、人生はそれだけじゃない。

苦しい時には自分をいたわり、自分自身をいつくしもう」と自分に言い聞かせよう。

4. 一日の終わりに、よかったことや嬉しかったことを五つ書き記そう。もっと効果的にしたければ、その日に起こった自分が自信を持って誇れる出来事を五つ書き足そう。

この「The happiness track」 は先月出版されてから米アマゾンでベストセラーになった。博士は、本を読んでくれた人の心が軽くなってくれればと願っており「こうしたことができるようになれば、私たちの目的を達成させるための力が、想像をはるかに超えたものになるでしょう」とメッセージを残している。

(翻訳編集・桜井信一)

 

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