美味しい野菜シリーズ

胡瓜(きゅうり)

胡瓜(きゅうり)は昭和60年、今から約30年前までは、金額ベースでの市場流通において野菜部門でトップの座を守り続けていました。以降はトマトにその座を奪われましたが、その原因は日本人のライフスタイルの変化にあると言われています。

高度経済成長後のバブル真っ只中にあった当時は、マンションブームや洋風住宅の普及によって、漬物を作る環境が家庭から無くなりつつありました。漬物は本来、沢山採れた野菜や山菜の長期保存を目的として作られるものです。古くからの日本家屋には非常に向いていたのですが、洋風住宅等の新たな居住環境には適さず、家庭で漬物を漬ける事がだんだんと難しくなっていました。このような事情により、以前に比べると食卓から少し遠退いてしまった感は否めませんが、浅漬けやサラダ、お寿司のカッパ巻き等、胡瓜が日本人にとって馴染み深い野菜の一つである事は現在でも変わりありません。

胡瓜の命は3日です。胡瓜の香りは収穫してから3日経つと完全に消えてしまい、残るのはシャキシャキとした食感のみです。胡瓜は、あの独特の香りが美味しさの命です。買い置きはなるべく控え、新鮮な香りを堪能して頂けたらと思います。

(杉本青果店代表 杉本晃章)