漢字廃止の違憲を審査 韓国の民間団体が政府を告訴

最近、韓国の憲法裁判所で、民間団体と学生の保護者ら333人が「漢字を廃止し、学生が漢字を習う権利を奪った」として、韓国政府を訴えた裁判の法廷弁論が開かれた。これは韓国政府が2005年に「国語基本法」を制定し漢字を全面的に廃止して以来、国が提訴された初めての事例。

 原告「漢字は高尚な人格の育成を助ける」

5月12日、原告側は韓国政府と韓国憲法裁判所で漢字の使用を重視すべきかについて法廷弁論を行い、審理が始まった。原告側の民間団体と保護者らは、漢字を習うことは高尚な人格の育成に資するが、「国語基本法」によりハングルのみを教え漢字を排斥すれば、人格を形成する権利や保護者が子供を教育する権利を侵害されたとしている。

原告側はさらに、ハングルと漢字は補完関係にあり、漢字由来の言葉をハングルで表記すると文章の理解力が低下するとして、漢字とハングルの併用を主張している。

原告側の韓国中央大学校法律科ハン・スウン教授によると、漢字を廃止することは国家が直接的に国民の言語の自由を干渉するものであり、憲法違反であるという。

政府機構の観光部はこれに反論して、「国語基本法」では漢字を排除しておらず、ハングルのほうが使いやすいという民意の現れだと主張。漢字に由来を持つ言葉でもハングルを使えば十分に意思疎通ができるにもかかわらず、漢字を使うとすると国力の浪費につながるとしている。

 意見の相違を乗り越えて漢字文化を受け伝える

韓国では千年以上にわたって漢字を使い続けてきた。ハングルが世宗大王によって考案される前、韓国では漢字しか使われなかった。漢字は表意文字であるのに対し、ハングルは表音文字であるため、韓国では長きにわたり重視されなかった。そのため長い間新聞や雑誌は漢字が中心であり、ハングルは助詞として使われるだけだった。

1970年代から韓国政府はハングルを主要な文字として使用する政策を打ち出し、常用漢字と決められた1817個の漢字のみを使用するようになった。一方で1972年には漢字が中学校の必修科目として復活し、中学校と高校での漢字教育が再開された。

1999年には韓国政府は政府の公用文書や道路案内での漢字の使用を許可した。にもかかわらず、盧武鉉政権下の2005年、漢字は全て廃止された。当時制定された「国語基本法」では韓国語は韓国固有の文字(つまりハングル)のみを使用するものと定めたため、以降すべての教科書はハングルのみの表記となり、公文書や雑誌では漢字が使われることはなくなった。

韓国語は中国文化に深く影響されてきたため多くの名詞は漢字に由来を持っている。しかし数十年間に渡る政府の政策により、現代の韓国人はそれらの名詞を使っていてもそれらの対応する漢字を書けず、また読むこともできなくなった。

中華文明の発祥の地の中国では、漢字は天と人との関係を示す中国文化を記録する文字として用いられ、数千年間の道徳観と伝統を現した。

しかし共産党の無神論により簡略化され、1950年~60年代の法改定で「簡体字」が全土で使われるようになった。簡略化されていない「繁体字」は台湾、香港マカオで使用されているが、本土観光客の増加や経済的な影響で、簡体字が増えつつあるという。

(翻訳・文亮)

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