老人ホームと保育園が一緒になったら、何が起こると思いますか? アメリカ・シアトルで実際にあったことに人々の心が温まりました。
シアトル西部にある介護施設「プロビデンス・マウント・セント・ヴィンセント」には400人余りの高齢者がいます。保育園も併設されていることがちょっとユニークです。
ここでは高齢者と子どもたちが一緒に学ぶ場所「世代を超える学習センター」があります。子どもたちは、全日、半日または週に2日、3日など、自由に選択して学習センターのプログラムに参加することができます。歌、踊り、絵描き、サンドイッチを作ることや物語を聴くなど、いろんな内容がプログラムに組み込まれています。もちろん、自由に参観もできます。
昨年6月、地元出身のハリウッッド映画ディレクターで、シアトル大学でも教鞭を取っているエバン・ブリッグス(Evan Briggs)さんは、子どもたちが老人ホームに現れてから、高齢者たちが著しい変化を遂げたことを目のあたりにして、学習センターについての短編ドキュメンタリー「Present Perfect」を制作しました。
老人ホームの中で高齢者たちは元々活気がなく、ただただ食べては寝るの繰り返しで、そんな毎日を送るだけでした。しかし、彼らは子どもたちと一緒に歌ったり、絵を描いたり、いろんなことを共にしてから、意欲が高まり、会話が進んで生き生きしてきました。
実は、親たちが子どもたちをここに入園させた理由は、優秀な教師陣がいるからです。しかし、一年経った時に、子どもたちは思いやりや優しさを身につけ、大きな収穫になっただけでなく、「私自身も自分の親が老いて行くことに対して、身を以って体験できました」とある園児の親が話しました。
アメリカのケーブルテレビニュースの報道では、同学習センターを通じて、高齢者たちが新たに自己価値を再確認し、子どもたちとの接触によってより多くの楽しみと笑いが得られました。一方、子どもたちは障害を持つ高齢者たちを受け入れられるようになり、人間が老衰する過程を知ることができました。また、高齢者たちから無償の愛情を受けて、大人も時には助けが必要だということにも気づいたようです。
ブリッグスさんは「主人公は老人と子どもです。子どもたちは経歴がなく、美しく限りない可能性を持つ未来があります。一方、老人たちは豊富な人生経験を持っているが残されている時間は少ないのです。世代の違う人たちが一緒に過ごし、少ない時間で触れ合い、楽しい時間を共有する記録を通じて皆さんと色々考えていきたい」と制作した理由を述べました。
統計によると、アメリカでは43%の高齢者が一人で生活しており、社会的孤立や孤独が心身ともに良くない影響を与えると指摘されています。また、老人ホームについて、2015年までの統計では、老人ホームと保育園を併設している箇所はアメリカ全土で約500カ所あります。
日本でも3年前、厚生労働省は高齢者や障害者、子どもを地域で支える「宅幼老所(地域共生型サービス)」を推進するために行なうべき取組と取組事例の纏めを公開しました。
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(翻訳編集・潤)
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