人間は不老不死になれるだろうか? この世に死から逃れられる生き物など存在するのだろうか? 実は、世の中に死ぬということもなく、それどころか若返って生き続けることができる海洋生物がいる。その名はベニクラゲ(Turritopsis nutricula)といい、世界で唯一死なない生物といえるかもしれない。
ベニクラゲは刺胞動物門のヒドロ虫綱に属し、直径はたった4~5ミリしかない捕食動物だ。英紙「タイムズ」の報道では、一般のクラゲは次の世代を繁殖し終えると死亡する。しかし、ベニクラゲは繁殖した後にポリプ(幼少期)に変身し、若返って新たな生命を始めるという。
このサイクルは繰り返すのでベニクラゲは理論上死亡に直面することなく、永遠に生存し続けるということになる。実際、ある科学者が4000匹のベニクラゲを観察した時、すべてのベニクラゲが若返り、死亡したものはなかったことを確認している。
科学者たちによるとベニクラゲは細胞の分化転換によって若返りを実現しているという。つまり細胞は一つの類型から別の類型に転換する。通常ではこの種の転換は器官再生の状況下で現れるものだが、ベニクラゲの場合、この過程がごく自然な状態で自らの生命周期の中に組み込まれているようだ。
ベニクラゲは何故若返るのかについて、今でも海洋生物学者と遺伝学者が重点的に研究する課題となっている。日本でも京都大学瀬戸臨海実験所でベニクラゲの研究が行われており人間への応用を期待されている。
(翻訳編集・豊山)
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