唐詩百選
時空を超える妻の思い 李白の「子夜呉歌」
中国の歴史上、最も強大な王朝の一つとして栄えた唐の時代。優れた名将を輩出し、「貞観の治」「開元の治」などの太平な世が続いたことで知られています。また、開放的な王朝として、諸外国と盛んに貿易を行い、国には様々な民族が居住していました。
しかし、国境の安定と帝国の繁栄の陰には、名もない兵士たちの苦労がありました。中国西部の砂漠とオアシスが織りなす壮大な風景には、遠征に行った夫を思う妻たちの涙があるのです。
「子夜呉歌」は、当時の時代背景を反映して李白が詠んだ詩です。春夏秋冬の四つの歌から構成されていますが、中でも最も親しまれているのは秋歌と冬歌です。「何れの日か胡虜(異国の民)を平らげて、良人遠征を罷めん」。永遠に戻らないかも知れない夫を案じる妻の心情が伝わってきます。
関連記事
【大紀元日本9月28日】 月落烏啼霜満天 月落ち烏啼いて 霜天に満つ 江楓漁火対愁眠 江楓漁火 愁眠に対す 姑蘇城外寒山寺 姑蘇城外 寒山寺 夜半鐘声到客船 夜半の鐘声 客
【大紀元日本10月22日】牀前看月光疑是地上霜挙頭望山月低頭思故郷 牀前、月光を看る。疑ふらくは是れ地上の霜かと。頭を挙げて山月を望み。頭を低れて故郷を思ふ。 言うまでもなく、日本でも有名な李白(7
【大紀元日本11月6日】昔聞洞庭水 今上岳陽楼呉楚東南坼 乾坤日夜浮親朋無一字 老病有孤舟戎馬関山北 憑軒涕泗流 昔聞く洞庭の水。今登る岳陽楼。呉楚東南に坼け、乾坤日夜浮
【大紀元日本9月16日】長安一片月萬戸擣衣声秋風吹不尽総是玉関情何日平胡虜良人罷遠征 長安、一片(いっぺん)の月。萬戸(ばんこ)衣を擣(う)つの声(こえ)。秋風、吹いて尽きず。総(す)べて是れ、玉関の