ドイツ大連立交渉合意、メルケル首相側が大幅譲歩
[ベルリン 7日 ロイター] – ドイツのキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の大連立交渉が7日、原則合意に達した。メルケル首相が率いるCDU・CSUがSPDに大幅に譲歩した。4カ月間の政治空白の解消に向けて前進した。
交渉関係者によると、SPDは財務相のポストを確保する。前政権ではCDU・CSUのショイブレ氏が財務相を8年間務めていた。厳しい財政規律を推し進めていたことから財政困難に陥るユーロ圏の国には不人気だった。関係者によるとハンブルク市長のオーラフ・ショルツ氏が財務相に就任する。
SPDのシュルツ党首は今週初め、「強制的な緊縮財政」に終止符を打ちユーロ圏への投資予算を設ける内容でCDU・CSUと合意したと発言している。
財務相という重要なポストをSPDへ引き渡したことは、2013年以来続く大連立政権を一新しメルケル首相が4期目を務めるためにCDU・CSUが大きく譲歩したことを示す。交渉関係者によるとSPDは労働相のポストも確保する。法務相と家庭相、環境相のポストも得るとの報道もあった。
またビルト紙によるとシュルツ党首は外務相となる。ジュートドイチャー・ツァイトンク紙によるとシュルツ氏は党首を辞め、SPDのアンドレア・ナーレス議員が党首に就任する見込みだ。
昨年の総選挙で戦後最悪の得票率となったSPDはCDU・CSUとの連立を解消し、野党にまわる予定だった。連立政権の交渉へは仕方なく応じた。ただ依然としてSPDの党員46万4000人の郵便投票による承認が必要になる。
報道によるとCDUは経済相と国防相、教育相、農務相のポストを得る。CSUのゼーホーファー党首は内相に就任する見通し。
大連立交渉は4日に合意する予定だったが、労働や医療保険をめぐる政策で溝が埋まらず、期限を延ばし続けてきた。
労働政策においては、24時間以上続いた協議の末、期限付きの雇用契約の上限を現在の24カ月から18カ月へ減らした。SPDは正当な理由なしに雇用主が従業員を解雇することを完全に禁止し、働き手に安定した条件を与えたかった。一方、CDU・CSUは企業が競争力を保つためには柔軟性が必要だと主張してきた。
医療保険については、官民共同の枠組みを作る委員会の設立で合意した。医者は民間企業の患者の方が儲かるため、公共部門の従業員よりも好む傾向がある。
ベレンバーグのエコノミストはこうした計画に加え、より寛大な年金制度を導入することは費用がかかると指摘する。
一方、ドイツ商工会議所(DIHK)は18年の成長見通しを2.7%増へ引き上げた。賃金増加と職の安定、低い借り入れコストを背景に消費支出が増える上、輸出や設備投資が持ち直すとの見方を示した。
*内容を追加して再送します。