南シナ海軍事化続けば対抗措置、中国に警告=マティス米国防長官

ジェームス・マティス国防長官は最近、出席したアジア安全保障サミットで、南シナ海の「軍事化」が絶え間なく続くならば、中国に対して対抗措置を検討すると語った。長官は、中国側が人工島に兵器を設置することで、地域の人々の安全を脅かしていると述べた。

ドナルド・トランプ大統領は、シンガポールで開かれた今回のサミットでのマティス長官の発言内容を支持し、「中国のやっているこのことに非常に驚いている」とツイートした。

マティス長官によると、トランプ政権による今夏の多国籍の環太平洋合同演習(RIMPAC)に中国軍への招待を撤回したのは、中国当局による人工島の軍事化に対する「初期対応」であったと述べた。

マティス長官は「中国の南シナ海における人工島軍事化には、対艦ミサイル、地対空ミサイル、最近ではウッディー島で爆撃機が着陸した」と、衛星画像などの分析報告を引用して述べた。また、中国による南シナ海地域の軍事の増強は「周辺国と長期的な協力関係を築く目的ではなく、中国の将来にとって重要だから行っていることだ」と指摘した。

6月12日に予定されている米朝首脳会談について、トランプ政権は中国に対して北朝鮮への協力を強く求めている。2回目の金正恩・朝鮮労働党委員長の訪中以後に、北朝鮮側の態度が硬化したことについて、マティス長官は「北京の意向があったのは疑いようがない」と述べた。

マティス長官はまた、米国と中国の間の長年の争議対象である台湾についても触れた。長官は、米国政府は台湾に防衛装備と技術を提供し続け、現状を変えようとする力に反対するとした。また、中国は、状況次第で軍事的圧力を用いて、自治能力のある地域を独自に自国領土と主張していると指摘した。

いっぽうで、米国は中国との協力関係を「どこでも、可能ならば」歓迎し、中国政府から訪中招待があれば受け入れるとした。

米海軍の航行の自由作戦、中国軍から反発 米国は「秩序に基づいた行動」

マティス長官の発言、サミットに出席した中国軍関係者から強い反応を引き出した。

中国は、係争地域である南シナ海の島々を領土と強く主張しており、防衛線構築の権利があるとして島の埋め立てと軍用化を正当化している。

中国人民解放軍Zhao Xiaozhuo氏は、南シナ海を中国の「領海」と主張し、5月27日に米国軍艦2隻を投入した米国「航行の自由作戦」は、「国際法違反」であり、「中国の安全保障と領域への明白な挑発行為」と述べた。

マティス長官は、国際仲裁裁判所の決定と、Zhao Xiaozhuo氏の質問内容がかみ合っていないと反論。南シナ海の「公海を通過することは軍事行動とは見なされない」と述べた。「秩序に基づいた行動だ」と強調した。

マティス長官はさらに、明言は避けたものの、中国主導の世界構想「一帯一路」を批判した。「中国中央政府は、関係国に山積みの負債を負わせ、政治行動の自由を失わせることが『国交』というならば、よくよく考え直さなければならない」

サミットに参加した中国人民解放軍He Lei氏はAFP通信の取材に対して「他国からの無責任なコメントは受け入れることができない」と述べた。

5月下旬、米国は太平洋司令部を「インド洋太平洋司令部」と改称した。これは、同地域における米国防衛戦略の対象地域拡大とアップグレードを反映している。

トランプ政権が2017年末発表した新しい国家安全保障戦略の後、米国政府や議員は「アジア太平洋」よりも「インド太平洋」を強調してきた。日本の安倍首相も提案してきた「自由で開かれたインド太平洋戦略」と一致する。

マティス長官によると、過去1、2年、米国防省はインド太平洋司令部艦隊に対して「最も能力のある戦艦」を投入してきたと述べた。

(編集・佐渡道世)

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