毎勤統計、不適切調査で賃金など実態より低く 厚労相「組織的隠ぺいはない」

[東京 11日 ロイター] – 厚生労働省は11日、賃金や労働時間の動向を把握する「毎月勤労統計」の調査において、実施すべき全数調査の一部を抽出調査で行っていたと発表した。これにより「決まって支給する給与」等が低く出ていたため、雇用保険や労災保険で追加給付が必要な事態となっている。根本匠厚生労働相は会見で「組織的隠ぺいがあったという事実は現段階ではない」との認識を示した。

根本厚労相は、自身の責任を問われ、「さらなる調査の実施や再発防止策の取りまとめ、国民への対応に全力挙げて取り組む」と述べた。また、関係者の処分については、さらなる調査を実施した上で行う考えを示した。

不適切な調査は2004年から行われていた。本来、500人以上の規模の事業所は全数調査を行うことになっていたが、厚労省から東京都に対し、抽出した事業所名簿を送り、これに基づく抽出調査を行っていた。18年の東京都の500人規模以上の事業所は1464事業所だったが、調査を行ったのは491事業所だった。不適切な調査を行っていたことは、総務省からの指摘により精査したことで発覚した。

これらの抽出調査については、17年まで、母集団の調査結果とするための「復元」と言われる統計処理も行っていなかった。

厚労省では、「復元」に必要なデータが存在する12年以降については「復元」し、再集計値として公表する。「決まって支給する給与」の「再集計値」と公表値のかい離は金額ベースで平均0.6%だった。

なぜこうした抽出調査が行われたのか、また、なぜ18年1月から「復元」が行われたかなどについては、調査中としている。ただ、「意図的にやる意味はない」(厚労省関係者)としている。

全数調査が実施できる時期については「できる限り早急に」と記すにとどめた。

また、18年6月に神奈川県、愛知県、大阪府に対し、500人以上の規模の事業所について19年から抽出調査を行うと通知していたが、これを撤回した。

不適切な調査を行っていたことで、賃金等が低めに出ていたことから、雇用保険、労災保険、船員保険、雇用調整助成金で追加給付が必要になっている。厚労省では、2004年以降、追加給付が必要となる時期にさかのぼって追加給付を実施するとし、国民からの問い合わせのための電話を開設した。これらは計567億円となる。一方、給付が本来の額より多くなっていた人には返還を求めない。

根本厚労相は「追加給付に必要な予算を計上する方向で財政当局と協議する」と述べた。

*内容を追加しました。

(清水律子)

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