豪州戦略政策研究所の最新報告によると、中国共産党(中共)は、世界で人気のアプリを介して、外国人ユーザーのデータを収集し、世界の情報環境に変革をもたらし、海外での宣伝活動の影響力を増しているという。
この報告書は「中国独自の真実と現実:中共のメディア戦略とデータ支配」というタイトルで、中共がどのようにして国内外の情報環境を構築、管理、そして支配しようとしているのか、また、その戦略が従来の「メディア支配」から「データ支配」へと、シフトしていることを詳述している。
時事評論家 唐靖遠氏は「中共はデジタル集権システムを構築し、膨大なデータをもとに、国民を徹底的にコントロールしようとしている。このシステムは中国国内でほぼ完成し、現在インターネットを介して、その影響力を海外にも拡大している。これらのデータは、中共が外国に対して展開する世論操作や情報浸透、イデオロギーの植え付け、認識の形成などに活用され、着実にその支配を強化している」
報告書によると、1千以上の中共の公式機関と中国の企業や国有企業との関係が明らかにされている。
特に、国際的な懸念を引き起こしているデータ収集の問題を抱える拼多多(ピンドウドウ)とその海外子会社Temu(テム)に関する分析が、報告書には詳述されていた。
2023年3月には、Googleが「悪意のある」ソフトウェアが発見されたとして拼多多アプリを一時的にストアから削除した。AppleもTemuが過去にプライバシー規約違反を行っていたと報告している。
唐靖遠氏:「アマゾンのような民間企業はデータ管理を徹底しており、政府と共有することはない。しかし、中国の場合は異なり、Temu、アリババ、タオバオといった主要な電子商取引企業は、全てのデータを政府と共有する義務があり、これにより大きなセキュリティリスクが生じる恐れがある」
報告書によると、世界各国の政府は、TikTokに関連するリスクの軽減に努めているものの、中共が情報技術分野に対する投資を拡大していることによる広範囲な影響を、見過ごしていると警鐘を鳴らしている。
唐靖遠氏:「中国においては、特に海外で活動する大手多国籍企業が、中共の厳しい管理下にあり、党の方針を推進する手段、あるいは党の道具として機能している」
報告書は、政府に対して技術企業への圧力を強め、ユーザーデータの利用に関する監視を厳しくするよう提言しており、また、中共が管理する宣伝機関やそれに関連する組織に対しては、外国代理人登録法に従った登録を、義務付けるべきだと提案している。
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