米中貿易交渉、6つの覚書でカバーされる分野など

[20日 ロイター] – 関係筋によると、米中貿易交渉では、主要な構造問題で6つの覚書が準備されている。交渉に詳しい複数の関係者が明らかにした。技術移転、知的財産権、サービス、為替、農業、非関税障壁をカバーするという。

カバーされる見込みの分野と問題は以下の通り。

<技術移転強要とサイバー窃盗>

米政府によると、外国企業は中国で事業を展開するにあたってしばしば技術移転や知的財産提供を求められている。中国側はこれを否定。米国は合弁要件などを通じた技術移転圧力を外国企業が受けないよう望んでいる。

トランプ米政権はまた、米国企業から企業秘密を盗むハッキングを支援しているとして中国を非難。中国がハッカーの取り締まりと訴追を強化するよう望んでいる。

<知的財産権>

米国側は、米国企業が自社技術の中国での使用許可を与える際、中国の認可慣行が米国企業による自社技術の管理維持を妨げていると指摘。許認可関連法の強化を中国側に求めているほか、知的財産の侵害に対する一段の処罰を望んでいる。

<農業>

米国は中国に米国産鶏肉・牛肉といった農畜産物に対して市場開放するよう求めている。また、新たな遺伝子組換え(GM)種子・形質の認可をさらに速めるよう要求。さらに、エタノールおよびエタノール製品の副産物である蒸留乾燥穀物に対する関税の撤廃も求めている。

<サービス>

ムニューシン米財務長官はこれまで、クレジットカード大手のビザ<V.N>やマスターカード<MA.N>を含めた外国企業に金融サービス市場を開放するよう中国に要求。中国では事実上、中国銀聯が市場を独占している。

中国は外資系保険会社による中国内の合弁会社の支配権獲得を認める方向で作業を進めており、今年の早い段階に指針を公表するとみられているが、あいまいな規制が引き続き市場参入を思いとどまらせることになるのではないかとの懸念が企業側から出ている。

<非関税障壁>

トランプ政権当局者はこれまで、中国の規制や製品基準など幅広い対象を非関税障壁としているが、主なターゲットは10の戦略的ハイテク分野へ補助金を付与する「中国製造2025」だ。

中国は半導体生産能力の構築に1500億ドルを投じており、米当局者はこうした投資が過剰生産能力につながり、米国の産業を脅かすことを懸念している。

<通貨>

過小評価された人民元に対する米国の懸念は長年にわたって両国間の問題となっているものの、トランプ政権は為替操作で中国を非難することは控えている。

ただ、ここ数カ月では、ムニューシン財務長官を含む米当局者が人民元安を巡って中国に警告。人民元相場の安定を求めており、中国の当局者は昨年10月、ムニューシン氏に対して人民元の一段安に関心はないと伝えた。

<貿易赤字削減>

覚書とは別に、米中は10項目の短期措置リスト、コモディティー(商品)といったモノの大規模購入を協議。中国はこれまで、米国の農産物、液化天然ガス(LNG)、半導体といったモノの輸入拡大を提案。また、関係筋によると、中国は米国製ポリシリコンに対する関税を引き下げる。

<実行メカニズム>

米国は約束した改革を中国がどのくらい進めたかを測るメカニズムの構築を合意に盛り込みたい考えだ。中国が約束を果たせなければ米国は関税を復活する可能性がある。

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