英研究機関、強い統計に潜むリセッション間近のシグナルを指摘

[ロンドン 11日 ロイター] – 英エンタープライズ研究センターは11日公表のリポートで、主要統計では英労働市場の強さが示されているものの、雇用と企業の創出・消失のフローには、リセッション入りに関連するパターンがみられるとの研究結果を明らかにした。

英国の昨年の就業者数は約40万人増加しており、失業率は1975年以来の水準に低下。労働市場は、欧州連合(EU)離脱を巡る懸念や世界の通商問題が足かせとなり減速する英経済のなかで明るい材料を提供している。

ただ、同研究センターは、雇用統計を新興企業と従来型企業に分けて精査すると、気がかりなシグナルがあると指摘。新興企業は2018年に約100万人の雇用を創出し、従来型企業での61万3000人の純減を補った。

ただ、この傾向は、企業の「誕生」と「消滅」の比率が収束しつつあることを踏まえると、長く続かない公算が大きいという。企業の誕生と消滅の比率が収束することは、景気にとって悪い兆しとなる場合が多く、消滅の割合が誕生の割合を上回れば特にそうだ。

リポートはこの動きについて、ブレグジット(英EU離脱)を巡る一時的な不透明感の結果としてではなく、より長期的な流れの中で捉える必要があると指摘している。

アストンビジネススクールで企業家精神を専門にするマーク・ハート教授は、雇用が歴史的高水準にあると示す公式統計は政策当局者に偽りの安心感を植え付ける可能性があると指摘。

「新興企業による雇用創出で主要な統計の数字が押し上げられても、英経済の健全性にとって極めて重要な従来型企業による人員の採用が急速に鈍っていることをわれわれは既に目の当たりにしている」とした。

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