チェコ議会、中国人権侵害を非難する法案通過「中共内政で外交も予想できる」
チェコでは最近、中国共産党政権の非人道性や台湾政策を批判する動きが台頭している。上院議会は3月20日、当局による人権弾圧を批判する決議案131号を可決した。また同29日、訪台中のプラハ市長は、北京と同市を結ぶ姉妹都市協定に記載された、台湾の自治を否定する中国共産党の主張「一つの中国」の項目の削除に意欲を示した。
上院で可決した決議は法輪功、クリスチャン、ウイグル人、チベット人への迫害に反対し、同政権に対して無実の罪で囚われた人々の釈放を要求し、国際基準の人権を遵守するよう求めている。
この決議は、中国共産党政権による法輪功の大量虐殺罪についての請願が原案になっている。これまで3万7000人以上のチェコ国民や市民が、迫害停止を求める請願書に署名した。
チェコの法輪功広報担当Veronika Sunova氏は、上院議会に出席し、決議の可決は「20年あまりにわたって深刻な迫害を受けてきた何百万人にとって、精神的な支援となる」と述べた。
Marek Hilser議員は、「チェコは共産主義、全体主義を経験した国だ。独裁、粛清、投獄、世論の検閲を目の当たりにしてきた。自由への尊重が失われるとは、人権蹂躙とはどういうことかを他国よりもよく認識している」と語った。
また、中国共産党政権の自国民への対応を見て、外交も予測できると述べた。Hilser議員は、共産党政権が中国国内で基本的人権を無視し、自由社会、公正な司法と裁判、信仰や言論の自由を侵害しているとした。
Pavel Fischer議員は、「世界人権宣言を調べれば、共産党政権がすべてに違反していることが分かる」と述べた。同議員はまた、中国当局が法輪功学習者の臓器を強制摘出している問題について言及。この問題は、弾圧する法輪功学習者を消去する目的があると述べた。
さらに同議員は臓器収奪について付け加えた。「強制収容所にいる人々は、ただ臓器を持つ生きた身体とだけしか見られていない。なぜ収容所は病院の近くにあるのか?臓器の鮮度を保つためだ」と述べた。
「台湾のファン」プラハ市長、中共の卑劣さを非難
台湾台北を訪問している、チェコの首都プラハのズデニェク・フジブ(Zdenek Hrib)市長は3月29日、台湾メディアの取材に応じた。市長は、プラハと北京を結ぶ姉妹都市協定のなかにある中国共産党の主張「一つの中国」の項目を削除する意欲を示した。
市長は、台湾との友好的な関係を強調し、同項目は誤りであると繰り返し述べた。フジブ氏は医師資格を持つ38歳で、学生時代に台湾留学を経験した。2018年11月、プラハ海賊党から出馬して市長に就任した。
また、中国共産党政権による臓器強制摘出問題には、市は強い姿勢で対処するべきだと述べた。「医師として臓器が強制摘出されている状況は全く受け入れられない」
さらに、台湾は世界保健機関(WTO)に加盟するべきであり、世界市民として福祉に参加し、政治的事情に結びつけてはならないとした。
同市長はまた、台湾の自治を認めない「一つの中国」の項目を否定的に見ており、特定政党の主張を一方的に受け入れるのは不公平だとした。
市長就任前から、フジブ氏は台湾自治の支持を貫いている。中国駐チェコ大使館は先日、チェコ政府主催のイベントで台湾政府代表の退場を要求し、台湾の代表はその場を去ることを余儀なくされる騒動があった。同氏も以前、中国政府から同様の要求を受けたことがあり、「無法で卑怯な中国のふるまいに屈するべきではない」とSNSに書いている。
中国本土企業はチェコに多く投資していると主張するが、フジブ氏は、実質的なチェコ経済への投資ではなくチェコ企業を買収していると指摘した。
フジブ氏は「台湾のファンだ」と自称する。学生時代に訪問した台湾と現在の状況は変化したが、継続する自由と民主の精神を支持し、台湾の温かみのある友情を目にしていると語った。
(編集・佐渡道世)