米シンクタンク専門家 習近平は対応に追われる 中南海は足並み乱す

2026/03/06 更新: 2026/03/06

アメリカ軍が最近実施したイランへの軍事打撃が、中国共産党(中共)当局に与える影響に注目が集まっている。米シンクタンクの専門家は、今回の軍事行動が習近平と中共の戦略構想に多方面で深刻な打撃を与えたと指摘し、習近平は対応に追われ、中南海の指導部も足並みを乱しているとの見方を示した。

ハドソン研究所のジネブ・リブア研究員は3月4日、「中国は対応に追われている」と題する論文を発表した。論文は、アメリカ軍がイランに対して行った「壮絶な怒り作戦」が、中共指導部に「明らかな困惑」をもたらしていると分析する。

「習近平は今、対応に追われている」リブア氏によると、現在のイラン情勢が問題となっているのは、中共が直接の軍事的脅威に直面しているからではなく、どのような対応を取っても中共自身の矛盾に陥る状況にあるためだという。

同氏は、今回のアメリカ軍の行動が習近平にとって大きな打撃となる理由として、三つの点を挙げている。

第一に、イランという戦略的な牽制勢力が弱体化した点だ。2021年、習近平は中共の高官に対し「東昇西降(東が台頭し、西が衰える)」と述べ、中共が戦略的機会の時代に入ったと強調した。イランはこの戦略の重要な要素だった。中共にとって、アメリカの湾岸地域での行動を牽制し、制裁の影響を受けないエネルギー供給ルートを維持するためには、強硬姿勢を取るテヘランの存在が必要だった。しかしアメリカ・イスラエル軍の作戦は、わずか数時間でその基盤を揺るがした。

習近平はハメネイ政権と包括的戦略パートナーシップ協定を締結し、武器移転を承認し、国連安全保障理事会では拒否権も行使してきた。しかし、アメリカがハメネイ政権の存続は困難だと判断した場合、こうした措置が政権を支える決定的要因にはならないとリブア氏は指摘する。

第二に、習近平が国内向けに語ってきた主張が揺らいでいる点だ。習近平は中国本土で、アメリカは衰退し、決定的な軍事力を行使する能力を失いつつあると言ってきた。しかし今回のアメリカ軍によるイラン攻撃は、その主張が現実と一致していないことを示したと分析している。

第三に、エネルギー情勢が中共にとって不利に傾いている点だ。昨年、中国は1日あたり約138万バレルのイラン産原油を購入しており、これはイランの原油輸出の80%以上を占めていた。また中国の石油輸入の半分はホルムズ海峡を通過している。

ハメネイ政権の指導層が打撃を受ける中、湾岸地域の戦略バランスはサウジアラビアやアラブ首長国連邦へと急速に傾きつつあり、両国とアメリカはエネルギー関係を強化している。もしイラン政権が崩壊するか、あるいは西側の政権に転換すれば、中共が中東に築いてきた戦略的拠点は一気に失われる。

リブア氏は、習近平がアメリカとイランの衝突にどのような立場を取るかという問題は、戦略上の問題以上に難しいと考えている。中共には有効な選択肢がほとんどないためだ。

もし中共がアメリカのイラン攻撃を支持すれば、「グローバルサウス」の支持を失う。一方で、アメリカの攻撃を非難すれば、中国の評判をイラン政権と結び付けることになり、さらにトランプ政権を刺激するリスクも生じる。

論文はまた、中共が混乱している最も明確な兆候は、具体的な行動が見られない点だと指摘する。緊急首脳会議もなく、外交的な仲介もなく、軍事的な再配置も見られないという。

習近平は過去10年の外交政策を、ハメネイ政権がアメリカの圧力に耐え続けるという前提に大きく依存してきた。しかしその賭けは、期待した結果をもたらしていないとリブア氏は分析している。そして中南海の指導部も、この現実を十分に理解している。

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