ドゥテルテ大統領の出身地ダバオ市で、監視カメラをチェックする男性(GettyImages)

フィリピン外務省、ドゥテルテ政権にファーウェイ警告か=報道

フィリピンのメディアによると、同国外務省が機密の内部資料で、今年1月にドゥテルテ政権に対して中国大手通信機器メーカー・ファーウェイ華為科技)と提携する危険性を警告していたと報じた。外務省は文書の存在を否定している。

同国のニュースサイトRapplerは3月29日付で、外務省の内部資料とする文書画像を掲載した。文書は1月25日付で「情報通信技術省、安全保障会議、情報機関に対して、チェコとフランスが主に安全保障上の懸念から、ファーウェイ製品の使用を制限する命令を出したことを報告する」と記されている。

フィリピン外務省はRapplerの報道の翌日、「(ファーウェイ機器の使用を)警告する文書は存在しない」と否定した。しかし、外務省は「なによりも、文書を公表することは妨害されている」とコメントした。外務省は、妨害するのは誰なのかは明確にしなかった。報道について、関係機関に調査を求めているという。

内部資料とする文章には、ファーウェイに対する禁止措置について「チェコのサイバー安全保障情報局が、ファーウェイとZTEの端末がチェコの国益を害する可能性がある」と警告を発したことで、制限命令が出たと付け加えた。

同文書によると、1月、フランス駐フィリピン大使館は、フランスが「中国がネットワークを利用したスパイ活動に対する懸念から」ファーウェイの利用を禁止する可能性があると報告している。

この警告の1カ月前、ファーウェイの最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏はイラン制裁に違反したとしてカナダで逮捕された。同時期、マイク・ポンペオ米国務長官はマニラを訪問中、機密情報を扱う機関にファーウェイを使用しないよう促した。

ポンペオ長官は、5G技術を製造するファーウェイとの契約は、データを中国政府に引き渡すリスクがあると警告した。長官は、米国企業は透明性と法の支配の順守をもって運営されているが、「中国の国営企業は同様ではない」と批判した。

フィリピン外務省はRapplerの報道の翌日、「(ファーウェイ機器の使用を)警告する文書は存在しない」と否定した。機密文書が公表されたことに「不安を覚えている」とし、関係機関の調査を求めている。

最近では、フィリピン政府は国営の中国国際通信建設公司との間で「安全なフィリピン」プロジェクトに合意し、ファーウェイが約12000台の監視カメラを提供することになった。

オスカル・アルバヤルデ国家警察長官は、記者団に対し、ファーウェイが中国政府のためにスパイ活動を行っているとされる疑惑について、警察当局が調査を行うと述べた。

3月マニラで開催された第6回全国反サイバー犯罪サミットで、警察当局はファーウェイをスポンサーに選んだ。警察当局の決定を地元メディアが問題視した後、アルバヤルデ氏はこの声明を発表した。

しかし、データプライバシー保護団体メディア独立性基金は、ファーウェイとの提携には慎重な姿勢を示す。

同基金は「国の法執行機関、たとえば警察が、中国企業と何らかの提携を結ぶことは、外国勢力による干渉の脅威の増大につながる」と警告した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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