法輪功弾圧の関与者の訪米を制限、リスト作成に着手=米国務省
米国務省は、信仰者に対する迫害に関わった人物に対して、訪米ビザの審査を厳格化する方針だ。在米の法輪功学習者はこのほど、国務省職員から、法輪功弾圧関与者の情報提供の協力を求められた。
法輪功の情報を伝えるウェブサイト・明慧ネットによると、米国移民法および大統領の公示に基づき、国務省は、中国共産党政権から迫害を受けた法輪功学習者が申告する情報で、信仰に対する迫害加担者リストを作成する。これらを訪米ビザ発給の規制の決定材料とするという。
在米の法輪功学習者には同様に、迫害加担者の情報提出の協力を要請する通知が届いている。
国務省は、このビザ審査の厳格化により、移民や旅行、家族訪問、ビジネスなど各種ビザの申請を拒否することを検討している。米国永住権(グリーンカード)を取得している人物も入国拒否の対象になる。
この米国務省の動きを受けて、明慧ネットは中国国外の法輪功学習者に対して、迫害政策の加担者に関する情報提供を呼び掛けている。迫害加担者の定義は、直接の弾圧実行者に限らず、迫害に関する政策の策定者、命令の発令および協力者を含む。
明慧ネットによると、20年におよぶ法輪功迫害で、身元が判明しているだけで、少なくとも4313人が死亡した。学習者は、弾圧政策による法令のない逮捕、裁判で処理されないままの拘禁、死に至るほどの拷問を受けている。学習者の家族や支援する友人も迫害政策の対象になる。職業や学業において退社や退学を迫られるなどの社会的抑圧の被害が、海外の法輪功学習者および人権団体から報告されている。
明慧ネットによると、中国共産党政権による法輪功迫害政策の維持に手詰まりを感じた、高層から実務者レベルの当局者たちは、家族と共に海外逃亡の用意をしている。法輪功迫害の断罪では、厳しい処罰を受けることを恐れているという。
米国移民法第212条、および合衆国法典第8編1182条の「入国を許可しない外国人」には、次のように記載されている。
・裁判所の判決のない、意図的な殺人である「死刑(私刑)」を下した者
・拷問や残虐な非人道行為、人格を侮辱する処罰を下した者
・刑事告訴のない拘禁を行った者
・誘拐、秘密拘禁、拉致した者
・生存の権利、自由の権利、身の安全の権利を公然とはく奪した者
他の入国関連法では、宗教の自由を侵害する外国政府高官、対象グループの殲滅(せんめつ)のために扇動し、命令し、援助し、協力した人物、天然資源などに関する権力乱用や重大な人権侵害に関わった外国政府の腐敗公人も、米国に入国することはできないと定めている。
2011年8月にバラク・オバマ大統領の署名した大統領令によれば、深刻な人権、人道の侵害を犯した者は、米国への訪問の制限を受ける。
(編集・佐渡道世)