焦点:内閣不信任案否決、7月21日参院選投票へ 増税に与党から不安の声

[東京 25日 ロイター] – 立憲民主党など野党5会派が25日に提出した内閣不信任案は、自民、公明などの反対多数で否決された。政府・与党は26日に会期末を迎える今の通常国会を延長しない方針で、7月4日公示、21日投開票の参院選の日程が事実上固まった。

永田町は参院選に向けて走り出し、早くも勝敗ラインを巡って与野党の神経戦も始まった。

安倍晋三首相が政権に返り咲いてから初めて「増税」を掲げて戦う選挙戦に対し、「老後2000万円問題」も加わって、与党内には「追い風がない」との声も出ており、選挙結果によっては安倍首相の求心力に微妙な変化が生じる可能性もある。

<首相自ら解散風>

今年の通常国会は、終盤に「解散風」が強く吹きつけたことが特徴だった。きっかけは、安倍首相自身の発言だった。5月30日の日本経団連・定時総会のあいさつで、トランプ米大統領とワシントンでゴルフをプレーした際に風が強かったことを振り返り「風という言葉には今、永田町も敏感だが、一つだけ言えるのは、風というのは気まぐれで、コントロールできるものでない」と述べた。[nL4N23622J]

もともと政府・与党内では、野党の衆院選準備が遅れていることが意識されていたほか、衆院議員の任期(2021年10月)、来年夏の東京オリンピック・パラリンピックの日程、今年10月実施の消費増税後の景気失速リスクなどを勘案すると「今年夏の衆参同日選がベスト」(自民党関係者)の声が根強くあった。

ただ、最終的に安倍首相は同日選を見送ったとみられ、その理由として「やはり憲法改正を進めるため、衆院での3分の2を減らしたくなかったのだろう」(自民党関係者)、「参院選単独でも、与党が勝てるとの見通しもあったのではないか」(別の自民関係者)との見方が出ている。

とはいえ、衆院解散の可能性が「0%」になったわけではなさそうだ。選挙実務に詳しい国会関係者によると、28、29日の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)をこなした後、7月1週に電撃的に臨時国会を召集し、衆院解散するシナリオは確率論的には残っているという。

しかし、複数の与党関係者は、衆院解散の心理的な盛り上がりはなく、参院選単独実施が選択されたと話す。

<増税反対の野党と対決する与党>

こうした中で、与党内でささやかれているのが「増税選挙」のインパクトだ。2012年12月の衆院選以降、自民党は「増税」を掲げて選挙を戦ったことはない。このままでは「消費増税反対の野党候補と戦うことになり、少なくとも追い風は吹いていない」(先の与党関係者)との声が漏れる。

政府内には、G20サミットと並行して行われる米中首脳会談で通商問題がこじれ、3250億ドルの中国からの輸入に25%の関税をかかることになれば「世界的に極めて急激な株価下落が生じ、消費増税の延期・凍結論が復活する」(経済官庁幹部)との声もある。

だが、米中会談の決裂の可能性は低下しているとの見方がグローバル市場では多くなっており、このシナリオでの増税延期の可能性は低下している。

7月21日夜には、参院選の大勢は決している。その際の勝敗ラインはどこになるのか──。二階俊博幹事長や萩生田光一幹事長代行ら自民党幹部は、改選議席の過半数を自民、公明で占めれば「勝利」と述べている。

今回、改選されるのは124議席。その過半数は63議席。6年前の2013年に自民党は65議席、公明党は11議席の合計76議席を獲得した。

今回、堅い組織票を持つ公明党が前回並みの議席を得たと仮定すると、自民党は前回比13議席減の52議席になっても「勝利」を宣言するということになる。

しかし、自民党内からも与党で63議席の勝利ラインには「大甘」との声があり、「前回と比べ10議席を超えて減らせば、勝利とは言えないだろう」(自民党関係者)との声が出ている。

参院選の結果によっては安倍首相の政権基盤に変化が起きる可能性もあり、永田町は事実上、「参院選モード」に突入している。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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