アングル:日本の対韓輸出規制、対象となる材料とその重要性

[東京/ソウル 2日 ロイター] – 日本政府は1日、スマートフォンなどの製造に必要な材料の韓国向け輸出規制を強化すると発表した。

対象となる材料やその重要性についてまとめた。

◎輸出規制が強化される材料と、その用途

対象はフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目。

フッ化ポリイミドはスマホのディスプレーに使われる。レジストは半導体ウエハーに回路パターンを転写するために塗布される薄い膜。フッ化水素は半導体製造工程においてエッチングガスとして使われる。

◎なぜ問題なのか

日本メディアによると、日本はフッ化ポリイミド生産で世界の約90%、エッチングガスで約70%を占めている。政府の報告によると、レジストの生産シェアは約90%。このため韓国の半導体メーカーは代替的な供給元を探すのが難しい。

韓国の大手半導体メモリメーカー筋は、韓国企業は在庫の積み増しを迫られると指摘。同社はレジストとエッチングガスの7割以上を日本に頼っていると述べた。

◎影響を受けそうな企業

サムスン電子<005930.KS>、SKハイニックス<000660.KS>、LGディスプレー<034220.KS>はいずれも影響を受けそうだ。

韓国は今年1─5月に日本からレジスト1億0352万ドル、フッ化水素2844万ドル、フッ化ポリイミド1214万ドル相当を輸入した。

日本経済新聞によると、レジストを供給している日本企業はJSR<4185.T>、東京応化工業<4186.T>、信越化学工業<4063.T>、エッチングガス製造企業は昭和電工<4004.T>など。

関東電化工業<4047.T>も影響を受けそうだ。

◎輸出規制の仕組み

日本は3品目の対韓輸出について優遇扱いを中止し、輸出業者にその都度の許可申請を義務付ける。政府高官によると、審査には約90日間を要する。

日本は、韓国を安全保障上の友好国である「ホワイト国」のリストからもはずす計画。日本の輸出業者は軍事転用の恐れがある製品の輸出について許可を求める必要が生じる。

日本はドイツ、韓国、英国、米国などの27カ国をホワイト国に指定している。

◎紛争の背景

日本政府は、元徴用工問題で韓国政府が行動を起こさないとして不満を抱いている。韓国側は、日韓両国企業が出資して韓国人元徴用工への損害賠償金の財源をつくる案を提示したが、日本はこれを拒否した。

日韓両国の間には、1910年から45年に日本が朝鮮半島を植民地支配した苦い歴史がある。

◎WTO

韓国は日本の措置について、世界貿易機関(WTO)のルールに違反すると非難。WTOへの提訴など必要な対抗策を講じると表明している。

日本はWTO違反に当たらないとの立場だ。

関連記事
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
WHOは、5月27日に開催される世界保健総会に先立ち、パンデミック条約の一部条項を緩和したが、アメリカの批評家たちは、これらの変更が政策に対する懸念を十分に解決していないと指摘している。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。