ネイションワイド小児病院(NCH)での新しい治療により、慢性肺疾患を患っている赤ちゃんの生存が5人に4人から100人に99人に増加しました。未熟児で生まれた赤ちゃんは色々な病気を抱えている可能性があります。その中でも一番多いのが、気管支肺異形成(いわゆるBPD)と言われる病気です。
重症の場合、生存率は20%ととても低くなります。しかし、この病院では、新しい人工呼吸器を導入し、画期的な神経発達アプローチを用いることにしました。
BVD治療に伴う困難
赤ちゃんの肺は未熟で完全に機能していないため、医者は新生児を人工呼吸器に入れることがよくあります。場合によっては、人工呼吸器を使用している間は、赤ちゃんは呼吸を補助するための人工呼吸器にそこまで頼らなくてもよいように呼吸の促進のための鎮静剤を投与されます。
鎮静剤が神経に損傷を与えることもあるし、また人工呼吸器は長期の肺損傷を引き起こす可能性もあります。赤ちゃんがBPDで亡くなることも多く、その家族は生まれてすぐの赤ちゃんとの別れを強いられます。
ネイションワイド小児病院の新生児科の課長であるエドワード・シェパード博士は、病気に打ち勝つのは新生児にとってとても難しいことであると話してくれました。一般的に、短期的に効果的な治療を施す場合もあるし、治療が長期化することもあるとのことです。
ステロイドの使用は効果的ではあるが
BPDの場合、鎮静剤と人工呼吸器に加えて、ステロイドが治療に使用されます。ステロイドは肺の炎症を効果的に治療できますが、新生児の体内の他の細胞と相互作用し、脳の発達と全体的な成長に影響を与えます。
BPDは、脳性麻痺、失明、難聴などの神経学的な症状にも関係してくる病気です。
先ほどあげた標準的な治療によって併発する問題を解決するため、ネイションワイド病院のチームは、BPDに苦しむ子供たちへの鎮静剤とステロイドの使用を最小限に抑えることにしました。
BPD治療に試みられる新しいアプローチ
医師は、人工呼吸器を調整することで、乳児がより遅い速度でより深い呼吸ができるようになり、標準的な呼吸速度よりも肺への損傷が少ないことを発見しました。
それにより、鎮静剤とステロイドの使用を最小限にしたことと相まって、標準的な治療における副作用を低下させることができました。
そして、その病院のスタッフは新生児の神経を刺激するようなことをできる限り行いました。マッサージ療法、音楽療法、理学療法などを実施しました。また、両親と赤ちゃんとができる限りふれあってもらうようにすることも重要です。医師は、血圧をチェックし、血液の採取頻度を減らすことにより、赤ちゃんが不快に思うことをできるだけ少なくしました。
「我々はBPDの治療において脳への影響も配慮しました」とシェパード博士は話してくれました。
2017年12月に生まれた双子の赤ちゃんはBPDを患っていましたが、2018年この病院でこの新しい治療法を受けました。まだまだ完全ではありませんが、双子の赤ちゃんは目を見張るほどの回復を見せています。
「元気になった二人の赤ちゃんを見ているときが本当に幸せです」とシェパード博士は話してくれました。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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