劉鶴副首相は10月10日、米ワシントンの通商代表部(USTR)で開催された13回目の米中閣僚級通商協議に出席した(Photo by SAUL LOEB/AFP via Getty Images)

米中貿易交渉、劉鶴副首相が民間機で訪米 話題に

中国の劉鶴副首相が率いる代表団は今月10〜11日、米ワシントンで、13回目の米中通商協議に出席した。米メディアは、劉副首相一行が中国当局の専用機ではなく、民間航空機を利用したことに注目した。共産党内部が米中の貿易交渉をめぐって、依然として争いを続けているとみられる。

現地時間11日午前11時45分ごろ、米中双方は貿易交渉を終えた。当日の日程として、劉副首相らは午後2時45分から、ホワイトハウスでトランプ米大統領との会談を予定していた。ロイター通信によると、ホワイトハウスに行く前に中国側の担当者は、大統領との面会によって、代表団は当日の中国国際航空(エアチャイナ)の北京行き最終便に乗り遅れる恐れがあると話した。

ラリー・クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は21日、米メディア「フォックス・ビジネス」のニュース番組に出演した。番組のキャスターであるマリア・バーティロモ氏とクドロー氏は、劉副首相が政府専用機を利用しなかったことについて話した。

バーティロモ氏によると、劉鶴氏は4月上旬、米中両国の貿易交渉について「大きな進展があった」と話したが、中国国内の強硬派は協議結果を強く批判したという。同氏の政府専用機の利用は許可されなくなった。

これに対して、クドロー氏は「4月初めの交渉では、劉氏は習近平国家主席の『特使』の肩書でワシントンを訪れた」が、「中国の強硬派は交渉結果に不満だったため、劉鶴氏の『特使』の称号をはく奪した」と付け加えた。

劉氏が5月、ワシントンでの協議に出席した際には「特使」の称号を与えられなかった。

米CNBCのケイラ・ターシュ記者は11日、ツイッターに投稿し、劉鶴氏への待遇をめぐって米中両政府の対応が違うと指摘した。ホワイトハウスが発表する関連文書では、劉氏について「特使」と称した。これに対して、中国国営新華社通信は10日の報道では、劉氏を「国務院副総理、中央政治局員および米中通商協議における中国側責任者」と紹介した。

中国当局が5月初め、これまでの米中通商協議でまとめた約束を覆して以降、海外メディアは、中国最高指導部では米側への譲歩に強く反対する声が高まったと相次いで報道した。

香港紙の蘋果日報7月4日付によれば、最高指導部は10回目の米中貿易交渉について意見が激しく対立した。4月末に行われた中央政治局常務委員会会議で、7人の常務委員は貿易交渉の合意草案について投票をした。結果は、習近平氏、栗戦書氏、王滬寧氏と韓正氏の4人が反対で、李克強氏、趙楽際氏と汪洋氏の3人は賛成した。その後、中央政治局の25人の委員が、最高指導部の同投票結果を支持した。一部の高官は、「国に恥をかかせた」として劉鶴氏を攻撃した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)7月1日付は情報筋の話を引用し、中国最高指導部の20人以上の高官が5月13日に行われた会議で、韓正・国務院副総理が、進行中の米中通商協議を批判したと報じた。中国共産党内の江沢民派とみられる韓氏は、中国が譲歩しても制裁関税を撤廃しないという米側の方針に特に憤慨したという。

4月に行われた米中閣僚級協議では、中国の産業補助金削減や知的財産権保護、為替政策の透明化など7分野で150ページに及ぶ協定文が作成され、中国は法制度の変更などを約束した。しかし、直後に中国政府は修正を加え、これまでの交渉を白紙に戻した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明