ポンペオ米国務長官は11月8日、ドイツ・ベルリンで演説を行い、米中の対立は「米国と中国共産党政権の対立である」と述べた( Andreas Gora – Pool /Getty Images)

ポンペオ米国務長官、「中国共産党政権は中国ではない」

ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調した。

ケーバー財団(Körber Foundation)の招へいでポンペオ氏は、1989年のベルリンの壁崩壊から30周年に合わせて、ベルリンの観光名所ブランデンブルク門の前にあったベルリンの壁の跡地の近くで演説を行った。その際、長官は複数回、中国について言及した。

「中国共産党は、全体主義に関する新たなビジョンを形成している。これは、国際社会がこれまで見たことのないビジョンだ。中国共産党はさまざまな手段と方法で中国の国民を抑圧している。この手法は旧東ドイツの圧政と恐ろしいほど似ている」

長官は、中国当局が国内だけでなく各国にも影響力を行使し、威圧していると非難した。「中国軍が隣国の主権を脅かしている。中国当局は、ドイツの議員を含めて、当局の人権侵害を批判する外国政府の高官や議員の中国訪問を禁止している」

さらに、長官は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に触れ、「中国共産党に支配されているファーウェイは、信用できない」と述べた。中国当局の管理下にある中国企業が世界各国で次世代通信規格(5G)通信網を構築しようとしていることに、長官は強く懸念を示した。

ポンペオ氏は、自由世界の国の政府と中国共産党の間で今、「価値観をめぐって戦っていると認めざるを得ない」という。

演説後に行われた意見交換で、「米中の対立は21世紀の新冷戦であるか」という質問が出た。これに対して、長官は「新冷戦」という言い方に否定的な考えを示した。「中国の国民は、創造性・智慧・能力を持つ国民である。米中の対立は、米と中国共産党政権の対立で、米国と中国の対立ではない」と主張した。

香港の抗議活動について、長官は米政府の見解を改めて示した。同氏によると、トランプ政権は中国当局に対して「約束を守るよう」に求めている。「中国当局は香港の人々に、中国本土(の社会主義)と違う基本制度、『一国二制度』を約束したからだ」

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。