ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調した。
ケーバー財団(Körber Foundation)の招へいでポンペオ氏は、1989年のベルリンの壁崩壊から30周年に合わせて、ベルリンの観光名所ブランデンブルク門の前にあったベルリンの壁の跡地の近くで演説を行った。その際、長官は複数回、中国について言及した。
「中国共産党は、全体主義に関する新たなビジョンを形成している。これは、国際社会がこれまで見たことのないビジョンだ。中国共産党はさまざまな手段と方法で中国の国民を抑圧している。この手法は旧東ドイツの圧政と恐ろしいほど似ている」
長官は、中国当局が国内だけでなく各国にも影響力を行使し、威圧していると非難した。「中国軍が隣国の主権を脅かしている。中国当局は、ドイツの議員を含めて、当局の人権侵害を批判する外国政府の高官や議員の中国訪問を禁止している」
さらに、長官は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に触れ、「中国共産党に支配されているファーウェイは、信用できない」と述べた。中国当局の管理下にある中国企業が世界各国で次世代通信規格(5G)通信網を構築しようとしていることに、長官は強く懸念を示した。
ポンペオ氏は、自由世界の国の政府と中国共産党の間で今、「価値観をめぐって戦っていると認めざるを得ない」という。
演説後に行われた意見交換で、「米中の対立は21世紀の新冷戦であるか」という質問が出た。これに対して、長官は「新冷戦」という言い方に否定的な考えを示した。「中国の国民は、創造性・智慧・能力を持つ国民である。米中の対立は、米と中国共産党政権の対立で、米国と中国の対立ではない」と主張した。
香港の抗議活動について、長官は米政府の見解を改めて示した。同氏によると、トランプ政権は中国当局に対して「約束を守るよう」に求めている。「中国当局は香港の人々に、中国本土(の社会主義)と違う基本制度、『一国二制度』を約束したからだ」
(翻訳編集・張哲)