ユーログループ、新型コロナ受け「あらゆる手段尽くし」景気支援へ

[ブリュッセル 16日 ロイター] – ユーロ圏財務相(ユーログループ)のセンテノ議長(ポルトガル財務相)は16日、「あらゆる手段を尽くして」新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響から市民と通貨を守り、信頼回復と早期の景気回復を実現すると表明した。

ユーログループは5時間にわたりビデオ会議を実施。欧州連合(EU)欧州委員会は新型コロナの影響で、EUの経済成長率が今年、マイナス1%以下になる可能性があると指摘している。[nL4N2B9588]

センテノ議長は記者会見で「域内財務相が難しい選択を迫られることはよくあるが、生死に関わる問題はほとんどない」と指摘。「何が起きようが、われわれはあらゆる手段を総動員して市民と通貨を守る。この困難な時期の支援提供の約束に制約が設けられることはない」とした。

「われわれは信頼を回復し、早期の景気回復を支援するためにあらゆるる手段を尽くす。協調的で断固たる追加措置が必要になれば、実施する用意がある」と強調した。

会議で欧州委は、新型コロナに対応し加盟国がこれまで打ち出した景気対策は、平均で2020年の国内総生産(GDP)の約1%に上ったと明らかにした。ユーロ圏の域内総生産で計算すると1200億ユーロ(1340億ドル)に相当する。[nL4N2B96FO]

ユーログループは共同声明で、この比率が「今後、一段と高まる可能性がある」とした。

加盟国財務相はまた、景気が悪化した場合に社会福祉給付金絡みの公的支出が自動的に拡大する自動安定化装置をフル活用する考えを示した。

<財政規律は一時停止>

センテノ氏は、EUの財政規律である安定・成長協定を一時的に停止すると表明。「新型コロナおよびその経済的影響との戦いの障害にはならない」とした。

新型コロナ感染者の急増を受けてフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、デンマーク、チェコ、ポーランドが国境を封鎖し、多くの国が企業活動や人の移動を制限している。

ユーログループによると、新型コロナの影響を受けている輸送や観光などの部門では、事業面の深刻な混乱や流動性不足に直面する企業に対し、各国が個別にどのような支援を行うかを決める。税制措置や公的信用保証および輸出信用保証の供与、政府調達契約の遅延に対する罰金の免除などを選択肢に挙げた。

また、仕事や所得を失った労働者には短期の雇用支援のほか、有給病気休暇の拡充や失業手当、所得税納付期限の延期などの措置を講じる。

これとは別に欧州委は前週、総額370億ユーロの投資促進策を提案。欧州投資銀行(EIB)は、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小企業に対し、直ちに最大400億ユーロの支援を実施できると表明しており、ユーロ圏は救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)の活用について検討する構えだ。[nL4N2B64PP][nL4N2B950O]

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