「戦後最大危機」対処へ緊急経済対策、返済猶予は個別判断も=政府筋

[東京 6日 ロイター] – 政府が7日閣議決定する緊急経済対策の概要が判明した。新型コロナ感染拡大で世界経済は「戦後最大とも言うべき危機に直面している」との認識を示し、財政・金融・税制などあらゆる政策手段を総動員する姿を示す。資金繰りに苦しむ企業支援に官民で対処する方針を重ねて示し、返済猶予に応じた場合の債権区分判断を民間金融機関に委ねることも新たに盛り込んだ。

対策は、1)感染拡大防止策と医療供給体制の整備・治療薬の開発、2)雇用の維持と事業の継続、3)官民を挙げた経済活動の回復、4)強靭な経済構造の構築、5)今後への備え――が柱。感染拡大の影響を受けている地域経済の立て直しを図るため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を創設することも明記した。

感染防止に向けては、国内でマスクや消毒薬などを製造する企業に対する生産設備への投資を支援することなどを通じ、月7億枚を超えるマスク供給を確保する。マスクや消毒液などの輸入通関を加速するなどし、平年需要を上回る供給力を確保する方針も打ち出す。

ウイルス増殖を防ぐとされるインフルエンザ薬「アビガン」の備蓄を年度内に200万人分確保することも明記。感染国への資金拠出などで連携することも打ち出す。

雇用対策では、4月1日から6月30日までを緊急対応期間と位置付け、雇用調整助成金の助成率を中小企業で5分の4、大企業は3分の2に引き上げる方針だ。解雇を行わなければ中小企業で10分の9、大企業は4分の3に見直す。

資金繰り対策も拡充する。実質無利子・無担保融資で十分な規模の融資枠を確保すると明記し、中堅・大企業向けに日本政策投資銀行(DBJ)や商工組合中央金庫の危機対応融資を活用することも併せて盛り込んだ。航空会社に対する着陸料の支払い猶予を実施するとともにDBJの融資枠も活用し、危機を乗り切りたい考えだ。

返済猶予に応じた際の債権区分などに関しては「民間金融機関の判断を尊重し、金融検査においてその適切性を否定しない」との考えを打ち出す。先月の金融政策決定会合でCP・社債などの資産買入増額に踏み切った日銀とも「危機感を共有し、緊密な連携のもと難局に立ち向かっていく」との考えも重ねて示す。

税制関連では、収入が減少した場合に延滞税なしで1年間納付を猶予する特例設けるほか、欠損金繰り戻しによる法人税還付制度も活用する。今後も必要な対策を講じるため、リーマン危機時にも上積みした1兆円規模の予備費創設も明記した。

 

(山口貴也)

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