「日本でも拉致の可能性」 中共の民族団結法にウイグルやチベットらが抗議 越境弾圧が強化

2026/07/02 更新: 2026/07/02

今月1日、中国で「民族の団結と進歩の促進に関する法律(民族団結進歩促進法)」が施行された。これを受け、同日都内でウイグル、チベット、南モンゴル、香港出身者や国際人権団体、元国会議員らが記者会見を開き、同法を批判する共同声明を発表した。

登壇者からは、少数民族への統制強化に加え、国外にも及ぶ「越境弾圧」への懸念が相次いだ。同法は、民族の「団結」を損なう行為を処罰対象とし、国外の組織や個人にも責任追及を可能とする規定を含むとされる。

民族団結進歩促進法は「何の団結でもない」チベット出身者

チベットハウス・ジャパンのアリヤ代表は、「(民族団結進歩促進法は)何の団結でもない。我々の民族みんなのアイデンティティ、文化と言語を破壊、根絶することを正当化するためにできたものである」と強調した。

アリヤ氏は、同法の条文には現憲法との複数の矛盾が見られるという。「同法の第1条には何が書いてあるかというと、この法律は中国の憲法に沿って作ったものであるということが書いてある。しかし、中国の憲法の第4条には、我々庶民はどこに行っても、自分の言葉、アイデンティティー、文化を守る権利があるということははっきり書いてある」と指摘した。

同法第46条における宗教に対する中共当局の審査についても言及し、「全ての宗教は中共に忠誠感を使わなければならない上、信条に社会主義の思想が加えなければ、その宗教は駄目とされる状況にある」と語った

牧野聖修元衆院議員は、「中国の民主化に向かって戦いをしてきたが、この日(民族団結進歩促進法の施行日)を迎えてしみじみ感じるのは、中国は絶対に民主化しないということである」と指摘し、「各民族が独立運動をすることによって、初めて帝国中共は倒れる」との見方を示した。

そのうえで、「中国が民主化しても、チベットやウイグルでは大勢の皆さんの独立は勝ち取ることはできない。それよりも独立が先だ。みんなが独立してもらうような運動をする」と述べた。

同法を施行して、民族への弾圧を強化しなければならないくらい、「中国共産党は今行き詰まっていると思う」とも語った。

さらに、「少数民族を独立させる会を作る。そういう運動をやっていく中で初めて中共を倒すことができると思うし、中国の民主化も実現できると思う」と語った。

「日本でも拉致される可能性がある」越境弾圧への深刻な懸念

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの井出慶太郎氏(大紀元)

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの井出慶太郎氏は、民族団結進歩促進法には国外での適用を可能にする規定が盛り込まれているとし、中共による越境弾圧がさらに強化される恐れがあると警告した。

その上で、法施行前からすでに越境弾圧の事例が確認されていると説明。日本で留学中にSNSへ投稿した内容を理由に、帰国後に拘束された香港出身の留学生の事例があると紹介。「海外においてもオンライン検閲の手から逃れることはできず、こうした恐怖心を植え付けて、中国人留学生の多くがSNSに投稿する前に自己検閲をするようになってしまっている」と述べた。

井出氏は、こうした状況が大学における学問の自由にも影響を及ぼしていると指摘。「授業中に自分の意見を言うと、中国当局に報告されてしまうのではないかという恐怖から、大学においても自由な発言ができなくなることがある」と説明した。

その上で、「これらは法律施行前から起きていたことであり、施行後は国境を越えた弾圧がさらに強化されることが懸念される」と述べ、日本を含む民主主義国で保障されている言論、集会、学問の自由への重大な脅威になるとの認識を示した。

南モンゴルクリルタイのダイチン共同代表(大紀元)

南モンゴルクリルタイのダイチン共同代表は、民族団結進歩促進法が施行するが、実態は長年続けられてきた同化政策を法律として明文化したものだと指摘した。

中共執政以来、南モンゴルでは土地や文化、経済的権利が奪われ続けてきたが、「ただそれを法制化していなかっただけである」と述べた。

さらに、同法は海外にも影響を及ぼすとし、海外の人権団体や文化団体による「民族文化の継承活動も中共の意向に沿わない場合、違法と見なされる恐れがある」と指摘。違法とされた場合、「日本でも拉致される可能性がある」と警鐘を鳴らした。

中国国内のみならず「世界中で言論を封じる法律」

レイディー・リバティー香港のアリック・リー代表理事(大紀元)

レイディー・リバティー香港(LLHK)のアリック・リー代表理事は、民族団結進歩促進法について「ただ私たちを見張ったりするだけではなく、海外に住む私たちは国家の名の下に、国家の手足として行動するよう要求するようになる」と懸念を示した。

「仲間を見張り、報告させ、黙らせるという役割が一人一人に重荷を負わせている」と指摘。

さらに、「これは香港人やチベット人、ウイグル人だけの問題ではない。日本に住む人々を外国政府が管理しようとすることは、日本が自国に住む人々を守る力への挑戦である」と訴え、「中国は他国に内政干渉するなと言う一方、日本に住む人々にまで手を伸ばすことこそ干渉ではないか」と批判した。

日本ウイグル協会のアフメット会長(大紀元)

日本ウイグル協会のアフメット会長は、民族団結進歩促進法に対して「ウイグル議連など4つの超党派の議連が声明を発表し、同法の撤廃を求めている。そして、日本政府に対しても越境迫害に対する対策を求めている。これは極めて画期的な動きだと受け止めている」と最近の動きについて説明した。

今回の法律で注目すべき点として、アフメット氏は「強制同化の実質的な制度化、中共の意向にそぐわない言論を世界中で封じ込めると実質的に宣言したのと等しい」と指摘した。

アフメット氏は、これまで家庭がウイグル語や文化を継承する最後の拠点だったと説明。しかし同法では、親に対し幼少期から中国共産党などを愛する意識を子どもに教育する義務を課しており、「家庭にまで国家権力が入り込む内容になっている」と批判した。

また、「法律が恣意的に運用されることへの恐怖から、親が自分の身の安全と、そして子供の身の安全を考えて、親が自ら子どもに言葉や文化、伝統を教えることをやめると思う」「時間の経過とともに民族文化は消滅していく。それこそが中共の狙いだ」と警鐘を鳴らした。

エポックタイムズ記者。日本の外交をはじめ、国内外の時事問題を中心に執筆しています。
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