「お金さえあれば、幸せになれる」と思う人は少なくない。そのために、多くの人々が手段を尽くして財産を増やそうと、金銭に対する追求を人生の唯一の目標にしている。果たして、金銭は本当に人々に幸せをもたらすことができるのか、米国のシラキュース大学(Syracuse University)公共行政学部のブルックス(Arthur C. Brooks)教授の著書『国民幸福の総量』 (Gross National Happiness)の中にこの問題に対する答えがあった。
ある調査研究によると、調査対象の全員が、幸せな生活には今の収入をさらに4割増やす必要があると答えた。つまり、現在毎年5万ドルの収入がある人は、毎年7万ドルの収入が必要だと考えている。しかし、7万ドルの収入があれば、今度は毎年10万ドルの収入が必要になる。こうして、この調査によって「所有する財産が多ければ多いほど、より多くの財産がほしくなる」という結果が得られた。
さらに、1978年、2人の心理学者が22人の宝くじ当選者を調査したところ、宝くじを手にしたことによってもたらされた喜びは、数カ月しか持続せず、数カ月後、彼らの心理状態は普通の人よりも苦しみを感じる場合が多いという結果が得られた。
実際、多くの人は暮らしをたてるために十分な金銭を得たあとは、それより更に豊かになっても、或いは非常に豊かになっても、幸せの感じは増幅していない。例えば、2002年の調査報告によると、メキシコ人の平均の消費能力はフランスの3分の1しかないのに、63%のメキシコの成年者はとても幸せに楽しく生活をしていると感じているが、フランスで同じ調査をした結果は、生活の楽しさを感じる人は35%しかなかった。
関連する研究結果によれば、収入の多寡は幸せを感じる程度にあまり関係なく、むしろ、周りの人に比べて自分の収入が多いか少ないかがより重視されている。例えば、米国のハーバード大学で教授、職員、学生を対象にして行なった調査では、「もし、周りの人の年収が2万5千ドルであるのに対して自分の年収が5万ドルの場合と、周りの人の年収が20万ドルで、自分の年収は10万ドルという二種類の中から、自由に選択できるとしたら、どちらを選択するか」と調査対象者に尋ねたところ、56パーセントの人が前者を選んだ。
この結果から見ると、金銭の豊かさは、人々に幸せをもたらす唯一の条件でもなければ、最も重要な条件でもないようである。
(翻訳・編集=文子)
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