何事も、考え方次第で悪いことがよい事に変化する時がある。
ある大会社の社長が、事業を拡大するために、有能な人材を雇う事にした。募集広告に提示された給料が高額だったため、志望者が殺到した。
大勢の志望者を前に、採用担当の人事部長が言った。「馬は、見かけで選ぶよりも、実際に走らせてみなければ良いか悪いか分からない。真に有能なビジネスマンを得るために、君達にひとつのタスクを与えよう。お寺の僧侶に、木の櫛(くし)を売ってきなさい」
多くの志望者は、首をかしげ、怒り出す者も出てきた。「坊さんが、櫛を必要とする分けがないだろう。これは、単なるジョークか」。志望者は、ひとり、またひとりと会場から退出した。最後に残ったのは、3人だけだった。
人事部長は、「それでは、10日以内に、あなた方の営業報告を聞かせてもらおう」と述べた。
10日後、人事部長は、志願者Aに聞いた。「君は、何個の櫛を売ったのかね?」Aは答えた。「一つです。」
「どうやって売ったのかね?」
Aは、彼がいかに骨を折って営業に励んだのかを説明した。彼は、寺へ行って僧侶たちを説得したがよい結果を得ることができず、あるお坊さんは、彼を罵った。彼がお寺から帰る道すがら、若い僧が頭を掻きながら歩いてくるのに出くわした。僧の頭は、強い日差しに当たって、赤くなって痒そうだった。彼は、持っていた櫛を差し出すと、僧は嬉しそうにそれを買ったという。
人事部長は、志願者Bに聞いた。「君は、いくつ売ったのかね?」
「10個です」Bは答えた。
「どうやって売ったのかね?」
Bは、有名な山の古いお寺へ行ったと述べた。その山はとても高く、風が強いためにお寺を訪れる人々は、皆髪が乱れていた。Bはすかさず、お寺の僧長に提案した。「このお寺には多くの参拝者が訪れていますが、皆さん、強風のために髪が乱れております。髪が乱れたまま仏を拝むのは、無礼なのではございませんか。お寺の祭壇に櫛をいくつか置いて、信者が髪を梳かせるようにしてはどうでしょう」。
僧長は、Bの言葉に同意し、櫛を10個買った。
人事部長は、Cに聞いた。「君は、いくつ櫛を売ってきたのか?」
「1,000個です」とCは答えた。
人事部長は驚いて、「どうやって?」と聞いた。
Cは、いつも参拝者が列をなすような、有名なお寺へ行ったと述べた。彼は、そこの僧長に提案した。「ここに来る参拝者の方々は、とても敬虔で、熱心です。その信心深さに対する恵みとして、お寺で櫛をひとりひとりに配ったらどうでしょう。あなたは、字が上手ですから、“善行は徳を積む”と一言、彫ってみるのもいいでしょう。そうすれば、人々に良い行いをするよう、促すこともできますよ。」
僧長はそのアイデアに賛成し、1,000個の櫛を買った。お寺を訪れた参拝者はその櫛をとても気に入り、それは口コミで広まった。更に多くの参拝者が訪れた。
私たちは時々、これを成し遂げるのは無理だとか、とても想像がつかないなどと、決め付けてしまうことがないだろうか。多くの人は困難な状況にたじろぎ、やり遂げようとする勇気を持つ人は少ないだろう。これら3人の営業マンたちは、困難な状況でも機転を利かし、考えを変えただけで勝利を得ることができたのだ。
つまり、自分の考えをもっとオープンにし、固定させないことだ。絶対にできないとネガティブに考えず、思考パターンを変えてみると、悪かったことが突然良い事に変わったりするものだ。
(正見ネットより)
(翻訳・田中)
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