米株反発、ハイテク株に買い 原油価格上昇も押し上げ

[4日 ロイター] – 米国株式市場はハイテク株に買いが入り、反発して終了した。原油価格の上昇も押し上げ要因となり、米中間の緊張の高まりを巡る懸念などが相殺された。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための大規模な財政・金融政策などが奏功し、米株式市場は3月末以降、大きく回復している。市場の注目が感染拡大抑制策の緩和に移る中、この日はニューヨーク州のクオモ知事が、新型コロナウイルス流行で休止状態にある同州の経済活動の段階的な再開を巡る概要を発表した。

プルデンシャル・フィオナンシャル(ニュージャージー州)のチーフ市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「抑制措置を緩和し、経済活動を再開させながら感染拡大を抑えられるのか、市場は注目している」と述べた。

市場ではこのほか、米中間の緊張の高まりも懸念材料となっている。ポンペオ国務長官は3日、新型ウイルスについて、中国の研究所が発生源である「かなりの量の証拠」があると発言。ただ、人為的に作り出されたものではないとの米情報機関の結論に異議は唱えなかった。

個別銘柄では、マイクロソフト<MSFT.O>、アップル<AAPL.O>、アマゾン<AMZN.O>が先週の決算発表を受け買われ、S&P総合500種の上昇をけん引した。

原油高を反映しエネルギー株指数<.SPNY>は3.7%上昇した。

一方、デルタ航空<DAL.N>、アメリカン航空<AAL.O>、サウスウエスト航空<LUV.N>、ユナイテッド航空<UAL.O>は5─8%安。著名投資家ウォーレン・バフェット氏は2日、自身が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイ<BRKa.N>の年次株主総会で、航空業界にとって「世界は変わった」と述べ、保有していた米航空株を4月に全て売却したと表明。新型ウイルスの世界的流行で米経済と自身の投資が大打撃を受ける可能性も認めた。

バークシャーは2.6%安でこの日の取引を終えた。

食肉加工最大手タイソン・フーズ<TSN.N>は7.8%安。同社は従業員の呼吸系疾病が拡大したことで複数の工場を停止。新型ウイルスの影響で処理施設停止や生産遅延が続く見込みだと明らかにし、米国の食料供給がさらに悪化する見通しを示した。

この日発表の米経済指標では、3月の製造業新規受注が前月比10.3%減と、予想の9.7%減を超え、1992年の統計開始以降最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染拡大で供給網のほか輸出が阻害される中、今後一段の悪化が予想されている。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.09対1の比率で上回った。ナスダックでは1.14対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約95億株。直近20営業日の平均は約121億株。

 

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 23749.76 +26.07 +0.11 23581.5 23769.5 23361.1 <.DJI>

5 6 6

前営業日終値 23723.69

ナスダック総合 8710.72 +105.77 +1.23 8555.32 8715.82 8537.83 <.IXIC>

前営業日終値 8604.95

S&P総合500種 2842.74 +12.03 +0.42 2815.01 2844.24 2797.85 <.SPX>

前営業日終値 2830.71

ダウ輸送株20種 7980.96 -163.90 -2.01 <.DJT>

ダウ公共株15種 767.37 +8.29 +1.09 <.DJU>

フィラデルフィア半導体 1661.30 +16.90 +1.03 <.SOX>

VIX指数 35.97 -1.22 -3.28 <.VIX>

S&P一般消費財 918.01 +6.29 +0.69 <.SPLRCD>

S&P素材 320.75 +1.28 +0.40 <.SPLRCM>

S&P工業 519.21 -7.00 -1.33 <.SPLRCI>

S&P主要消費財 590.54 +0.03 0.00 <.SPLRCS>

S&P金融 362.44 -3.35 -0.92 <.SPSY>

S&P不動産 203.76 -0.03 -0.02 <.SPLRCR>

S&Pエネルギー 282.38 +10.10 +3.71 <.SPNY>

S&Pヘルスケア 1138.72 +0.83 +0.07 <.SPXHC>

S&P通信サービス 168.53 +0.54 +0.32 <.SPLRCL>

S&P情報技術 1583.92 +22.22 +1.42 <.SPLRCT>

S&P公益事業 285.74 +2.14 +0.75 <.SPLRCU>

NYSE出来高 10.12億株 <.AD.N>

シカゴ日経先物6月限 ドル建て 19425 – 205 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物6月限 円建て 19390 – 240 大阪比 <0#NIY:>

関連記事
5月14日(火)、ドナルド・トランプ前大統領のニューヨーク裁判が行われているマンハッタンの裁判所の外で行われた短い記者会見で、マイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)は、この訴訟を「司法の茶番」と強く批判した。元訴訟弁護士で、現在共和党の最高位議員であるジョンソン氏は、この訴訟と米国の司法制度への広範な影響に憤りを表明した。彼はトランプ大統領に直接電話し、裁判に出席したいと伝えたという。
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。