豪・ニュージーランド、相互往来再開へ準備 感染防止に万全

[シドニー/ウェリントン 5日 ロイター] – オーストラリアとニュージーランドは5日、ともに新型コロウイルスの感染抑制に成功し、経済活動の再開を慎重に進めるなか、相互の往来の再開を目指すと表明した。ただし、再開は、両国間で感染者が行き来することがないと確信できてからだとし、一定の時間を要するとの認識も示した。

オーストラリアとニュージーランドは、外国人の入国禁止、帰国者の隔離を1カ月以上実施。こうした感染抑制策が奏功し、両国とも感染者の死亡率がわずか1%と大半の国と比べてはるかに低く、新規感染者数も3月のピークから大きく減少した。

オーストラリアのモリソン首相は会見で、タスマン海を挟んだニュージーランドとの行き来が実現すれば、国際ルート再開の第1号となり、その頃には国内の空の移動も本格的に再開するとの見方を示した。

「オーストラリア国民がメルボルンからケアンズに移動するようになれば、大体その頃には、同じようにメルボルンからオークランドやクライストチャーチに飛ぶことができるだろう」と語った。

この日、ニュージーランドのアーダーン首相は、外国の首脳として60年余りぶりにオーストラリア政府の閣僚会議にビデオ会議方式で参加した。アーダーン首相はウェリントンで会見し、両国間の行き来再開には一定の時間が必要になると指摘。

「オーストラリアから感染例が持ち込まれず、われわれが感染者を輸出することはないと確信できた時が動く時になる。感染者が両国を往来することは望んでいない」と述べた。

 

オーストラリアの新型コロナ感染者数は約6800人、死者は96人。ニュージーランドの感染者は1137人、死者は20人。

ニュージーランドは5日、前日に続き新規感染者がゼロだった。

豪カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、国内線の運航再開直後に両国間の定期便の運航を開始できるとの見解を示し、記者団に「国際市場の段階的な開放に向けた非常に良いモデルになるだろう」と語った。

 

<経済立て直しへ>

両国はともに、感染防止のための厳しい封鎖措置で経済が深刻な打撃を受けている。

オーストラリア統計局によると、同国は新型コロナの感染拡大を防ぐための経済活動停止により、3月半ばから4月半ばにかけて約100万人の雇用が失われた可能性がある。

フライデンバーグ財務相は、新型コロナの影響で4─6月期の国内総生産(GDP)が10%押し下げられるとの見通しを指摘。その上で、より厳しい欧州のような制限措置を導入していたら影響はさらに甚大となっていたと強調。4─6月期のGDPへの打撃は倍の24%になっていた可能性があると指摘した。

この日政策金利を過去最低の0.25%に据え置いた豪中銀は、今年上半期の国内経済が過去最大のマイナス成長になり、失業率は2桁に上昇すると予想。ただ、ロウ総裁は、感染封じ込めが進展し、通常の経済活動への回帰が比較的早く進めば、より力強く景気が回復する可能性もあると指摘した。

*相互往来の再開準備などの内容を追加しました。

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