中国の始皇帝が建てた万里の長城は、長い歴史を通じて外敵の侵略を防ぎました。二千年以上経った今でもその全貌を見ることができます。中国古代の多くの宮殿、陵墓、仏塔なども万里の長城と同じく数千年経っていますが、壊れることなく今も堅固です。古代の建築物はなぜこれほど丈夫なのでしょうか?一部の歴史家は、古代によく使われていた「もち米モルタル」が理由であると指摘しています。
「もち米モルタル」とは砂と石灰などを練り混ぜたモルタルと、もち米のおかゆを混ぜた建築用接着剤です。専門家によれば、「もち米モルタル」は通常のモルタルより粘度が強く、防水性にも優れています。
中国の研究者たちは、一般のモルタルと「もち米モルタル」の強度を比べました。すると、「もち米モルタル」のほうが安定し、機械強度が強く、他の物質と混ぜた時も安定していることが分かりました。そのため、「もち米モルタル」は石の古代建築物を修理するのに最適であるといわれています。
研究者によると、もち米の中にあるアミロペクチンという成分が「もち米モルタル」の強度を高めているそうです。
中国古代の建築用接着剤は、時代により変化してきました。考古学者の発見によると、商王朝以前までは草に粘土を混ぜたものを使用していましたが、周王朝からは粘土の代わりに石灰を使い始めました。紀元5世紀の南北朝時代になると、石灰と粘土、砂を混合したものが一般的になりました。この接着剤は「三合土」と呼ばれ、混ぜた後も安定し、乾燥したあとも堅固です。「三合土」は建築接着剤として使うほか、そのまま建物の外壁の修復にも使えるため、今でも中国の多くの地方ではこの「三合土」を改良した建築材料が使用されています。
もち米は主に中国の南の方で栽培されます。一般の米と違って、炊くと粘度が強くなり、乾くと硬くなります。「もち米モルタル」が使われるようになったのは、中国の南北朝時代の頃です。福建省泉州市にある唐や宋の時代の建築物は大地震でも倒れず、南京、西安、荆州にある明の時代の古い城壁は六百年経った今でも完璧な状態を保持しています。更に、1978年に発見された明の時代の墳墓は、シャベルやブルドーザーなどの掘削機を使っても、墓室を開けることができませんでした。
宋から元の時代になり、「もち米モルタル」はさらに改良されました。明の時代と清の時代に建てられた世界遺産の北京故宮、承徳避暑山荘、清東陵、銭塘江防潮堤などは改良された「もち米モルタル」が利用され、堅固な福建土楼の一部は「三合土」にもち米、卵の白身、赤砂糖などを混合した材料が用いられています。
(翻訳編集・唐玉)
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