EU、コロナ警戒でも観光業の復興に前向き 夏の行楽期見据え

[ブリュッセル 13日 ロイター] – 欧州連合(EU)は13日、新型コロナウイルスの大流行で観光業が大きな打撃を受ける中、夏の行楽シーズンを見据え、産業の復興に向け、一連の提案を示した。ただ新型コロナは感染第2波が到来する恐れもあり、さらなる感染拡大の防止へ慎重な対応が不可欠とした。

欧州委員会は、航空会社がEUで運航を再開する条件として、乗客の距離を空けるために空席を確保する必要はないほか、乗客は旅客機内や空港の中でマスク着用が必須になるとの指針を表明した。

航空業界は、EUの域内総生産(GDP)の約10%を占め、全体の雇用の12%近くを占める。

欧州委のベステアー委員は「夏の行楽シーズンを見据え、専門家の意見も踏まえながら、旅行再開に向け段階的かつ慎重に対応する」と述べた。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって旅行を中止した顧客は多い。EUの規制で顧客は払い戻しを得られることとなっているが、欧州委は規制に違反している国に対して、訴訟を起こすと述べた。

また、航空各社は感染リスクを抑える必要があるとし、病院で実施しているような高度な換気や個人用保護具(PPE)の調達、移動の制限などを提案した。人が集まる事態を避けるためにチェックインや、荷物を預けたり受け取ったりする方法を再考する必要があるとも表明した。

その他、全額の払い戻しではなく引換券を受け入れる顧客が増えるように、キャンセル便の引換券を最低1年間有効とすることを提案。航空会社が破綻しないような補償制度を設ける。

一方、便がキャンセルされた場合に全額払い戻しを受ける権利を保証するEU規制の停止には踏み込まなかった。

鉄道の旅については、本数を増やすことや車内のスペースを広くすることでソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を実施するべきだと述べた。その他の公共交通機関やクルーズ船についても同様のルールを適用する。クルーズ船は乗客数を減らすほか、隔離が必要となった際の船室を確保するべきだとした。

欧州委の提案を実施するかどうかは欧州各国が決める。提案は法的拘束力はないほか、再開の日程は指定しなかった。

欧州航空安全局(EASA)と欧州疾病予防管理センターは向こう数週間内に追加で安全対策を発表する予定となっている。

こうした中、ドイツは新型コロナ感染拡大抑制に向け3月に導入した国境規制の一部を16日から緩和し始める方針を明らかにした。フランス、スイス、オーストリアと合意した国境管理体制の期限は今月15日から6月15日まで延長されるが、できるだけ多くの国境通過が許可されるようになるほか、全般的な検問は無作為的なものに移行する。

オーストリアの首相府は「ドイツ国境では15日以降、無作為検査のみを行い、6月15日に国境を完全に開放する」と表明した。

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