結婚して18年目、父親が他界したのをきっかけに、母親と同居することなった。月日が経つに連れて、年老いた母との摩擦が増え、家庭内はいつも不穏だった。母親は頑固さを増し、コミュニケーションが取れないばかりか、くどくど言う煩わしさにはとても我慢できない。しかし、自分としては、なるべく母を思いやって接しているつもりだった。
ある日、上司から厳しく叱責されて挫折感を味わい、どん底の気分で帰宅した時、母親が玄関口から、私の帰りが遅いと文句を言い始めた。しまいには、風呂場の水道管の水漏れをすぐに直さなかったなど、他のことまでぶつぶつ言い始めた。私はその時、思いがけず爆発し、口答えをしてしまった。
私と母は激しい口論となり、結局不愉快な思いをしたまま、会話を終わらせた。ようやく解放されて、私は逃げるように自分の部屋に戻ったが、この一部終始を見ていた高校生の娘が、私に話しかけてきた。
「お父さん、さっきのおばあちゃんに対する態度は、あまりよくなかったよ。大きな声を出したりして、おばあちゃんが可哀想。おばあちゃんは、お父さんのお母さんでしょう?将来、私もお父さんに同じように話したら、お父さんは悲しいでしょう?」と、娘はじっと私の目を見つめて言った。その瞬間、私は本当に身の置き所がなかった。確かに、娘の話には道理があり、筋が通っている。
いわゆる「人倫」とは、何だろうか。親子の間に愛情があり、君臣の間に義があり、夫婦それぞれに役割があり、長幼の序があり、朋友の間に信がある。これが人の道であり、守るべき倫理である。「自然に従い、人倫を乱さず」「人倫が和睦であれば、天道自然の法則も順調となる」「礼儀を尽くして謙虚な態度を保ち、調和のとれた社会になり、目上を敬い弱小を守ること」。これは、娘に幼い頃から教えてきた話で、私自身も分かっていたはずだった。
しかし、この日、私は自分の感情を抑えきれず、娘の前で恥ずかしいところを見せてしまった。孝は百行の本(孝行はすべての善行の根本となるもの)。改めて、娘が分からせてくれたようだ。私はそれから、二度と母親に逆らって言い返すことはしなかった。
(翻訳編集・沈容)
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