香港政府、優遇措置巡り米国をけん制 廃止は「もろ刃の剣」

[香港 29日 ロイター] – 香港政府は、世界の金融センターとしての香港の地位を支えてきた米国による優遇措置を廃止することは「もろ刃の剣」だとし、内政干渉をやめるよう米国に求めた。

トランプ米大統領は、中国による「香港国家安全法」の制定方針を受け、29日に米政府の対応を発表する予定となっている。

英国の植民地だった香港は1997年に中国に返還されて以降、「一国二制度」の下で高度な自治が認められてきたが、民主化を求める活動家や西側諸国は、香港の統制を強化する国家安全法の制定により、自由が制限されると懸念している。

香港政府は28日夜、「いかなる制裁も、もろ刃の剣で香港の利益を阻害するだけでなく、米国の利益も大きく損なわれる」とする声明を発表した。

また、2009─18年の米国の貿易黒字は対香港が2970億ドルと貿易パートナーの中で最大だったと指摘。1300社の米企業が香港に拠点を置いていることにも言及した。

中国全国人民代表大会(全人代)は28日、香港国家安全法の制定方針を圧倒的賛成多数で採択。同法は、香港での分離や政権転覆、テロリズム、外国からの介入を阻止することを目的とする。

同法を巡り、香港では数カ月ぶりに大規模な抗議デモが行われている。

ポンペオ米国務長官は27日、中国の同法制定方針を受け、香港に対し米国内法に基づく優遇措置をもはや認められないと議会に報告したことを明らかにした。

香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、29日に複数の現地紙に掲載された別の声明で、「同胞である市民」に対し、「見解の相違を脇に置き、われわれの夢を追い求めるため協力するよう」呼び掛けた。

長官はまた、香港国家安全法は「テロリストの脅威」があることや、「独立や自決権」を求める組織が中国政府や自治政府の権限に疑問を呈し、諸外国の介入を求めているため、必要だと強調した。

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