新型コロナの威力低下、科学的根拠ない WHO専門家などが指摘

[ロンドン/ミラノ 1日 ロイター] – イタリアの著名医師が、新型コロナウイルスは威力を失っているとの見解を示したことに対して、世界保健機構(WHO)の疫学者などから、科学的根拠がないとの指摘が出ている。

イタリア・ミラノにあるサンラファエーレ病院のアルベルト・ザングリロ医師は31日、現地のテレビ番組で、新型コロナウイルスは威力を失い、致死力が大幅に低下しているとの見解を示した。

WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ氏をはじめ疫学の専門家は、感染の形式や感染がもたらす症状の深刻度という点で新型コロナが大きく変化していることを示すデータは何もない、としている。

ケルコフ氏は記者団に「感染力という点では変わっていない。深刻さにも変化はない」とコメントした。

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のマーティン・ハイバード教授は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を引き起こす「SARS-CoV-2」ウイルスの遺伝子変化をみる研究では、新型コロナウイルスの威力が弱まっているという考えを支持するデータは現時点でないと説明した。

一方、ザングリロ医師は、新型コロナが威力を失っているとの見方は他の科学者と共に行った研究で裏付けされているとし、来週公表すると説明した。

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