米、農園作業者の間でコロナ感染拡大 食料供給に新たな障害も

[ニューヨーク/ロサンゼルス/シカゴ 11日 ロイター] – 米国の野菜や果物農園の作業者や梱包作業者の間で新型コロナウイルスの感染が広がっている。国内の食料供給に新たな障害をもたらす可能性があり、従業員の安全を守りながら食料のサプライチェーン維持に向けた舵取りが求められている。

野菜や果物の収穫は、作業が屋外でソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を維持することも可能だが、作業員が至近距離で働く梱包施設などではウイルスの感染リスクが高い。米国ではこれまでに食肉加工大手の精肉施設でも新型コロナの集団感染が発生している。

地元保健当局のデータによると、りんごの名産地として知られるワシントン州のヤキマ郡では5月下旬までに農業従事者600人超が新型コロナに感染。うち62%がりんごの梱包作業などに携わっていた。今月10時点で同郡の感染者数は4834人と、1人当たりの感染率では米西海岸で最も高い。

「世界のサラダボウル」と呼ばれる農業の盛んなカリフォルニア州モントレー郡でも今月5日時点で農業従事者247人が新型コロナに感染。同郡の感染者総数の39%を占める。

にんじん生産大手の従業員によると、病欠が相次ぎ、従業員が大幅に減る時期もあったという。

ニールセンのデータによると、新型コロナ感染抑制策でレストランなどが閉鎖される中、米国内のにんじん売上高は5月30日までの13週間で前年同期比22%増加した。

また、フロリダ州イモカリーのトマト生産者の間でも感染者数が増加している。同州の農業従事者の多くは隣接するジョージア、サウスカロライナ州などに収穫のため移動することから、感染がさらに拡大するリスクがある。

トランプ大統領は4月、国内の食品供給確保に向け、国防生産法に基づき食肉処理施設の操業継続を命じた。先月に入り、トランプ政権は青果生産者も同法の対象とする案を表明している。同法の下、現場の作業員が感染した場合、企業は法的責任から保護される。

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