中国のスーパーマーケットでコメを購入している女性(Getty Images)

中国社会科学院、5年後「食糧が1.3億トン不足」

中国社会科学院農村発展研究所は8月17日、中国農村発展報告を発表し、2025年末には中国の食糧が「約1.3億トン不足する恐れがある」と警告した。中国の習近平国家主席が11日、食糧の浪費問題について指示を行ったばかりだ。専門家は、中国食糧不足の実態はさらに深刻であると指摘した。

同報告書は、「十四五(第14次5カ年計画、2021~25年末まで)、中国では、約1.3億トンの食糧不足分が生じる恐れがある」「十四五における中国農村発展の大体的な考えは、『国家食糧安全保障を前提とする』ことだ」との見方を示した。

中国経済学者の何清漣氏は8月17日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に寄稿した。何氏は、中国国家統計局のデータを引用して、中国の食糧自給率は2018年12月時点で82.3%まで下落したと指摘し、「中国の食糧不足分はその17.7%である。国連食糧農業機関が設けた食糧安全水準(食糧自給率90%)に達していない」とした。同氏は、中国当局が品目別自給率、特に穀物自給率は95%であると強調し、国際食糧安全水準より高いと宣伝しているが、「これは、全く違う概念だ」と批判した。

何清漣氏によると、国連食糧農業機関の基準では、中国の食糧不足分は2.52億人の国民が必要とする食糧の量に相当する。

一方、中国社会科学院は報告の中で、食糧不足の原因として「農民の生産意欲低下、農民の持続的な増収の難しさ、農村における高齢化」などを挙げた。

しかし、中国当局による強制土地収用が、食糧不足の主因とみられる。河南省の農家はこのほど、米RFAに対して、「(中国当局が)過剰に開発を進めており、土地を収用している。このため、多くの農家は生産ができなくなった。農村部の若者の大半が都市部に出稼ぎに行ったのだ。それに、都市部での稼ぎは、農業生産より大幅に多いとみんなが気付いているから、労働力がどんどん都市部に流れ、多くの農地は荒れてしまった」と話した。

中国社会科学院の報告によると、「十四五」末になると、中国国内の農業従事者の割合は20%まで減少する。農村部の60歳以上の人口の割合は25.3%(約1.24億人)まで上昇する。

時事評論家の横河氏は8月14日、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、「中国国内では食糧危機がすでに起きている。国営食糧備蓄倉庫にある戦略的備蓄はほぼない状態だ」と述べた。

6月以降、中国国内では、各地の国営食糧備蓄倉庫で相次ぐ不審な火事や、倉庫の警備員による窃盗事件、備蓄量の粉飾事件などが報じられた。

横河氏は、「景気が良いときは、食糧の不足分を海外から輸入すればよい。しかし、今、外貨準備高が激減し、水害やバッタなどの自然災害が続いて、今年の食糧危機はさらに厳しさを増している」とした。

中国国営新華社通信によると、習近平氏は8月11日、「食べ物の浪費は深刻で、心を痛めている」と発言し、「節約を励行せよ。浪費に反対する」との指示を出した。

横河氏は、習氏の発言は食糧不足の深刻さを反映したとし、「中国国民はもうすぐ食卓で実感するだろう」と示した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、お茶である」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
オーストラリアのピーター・ダットン国防相は22日、宇宙司令部の設立を発表し、「強硬で好戦的な中露両国」に対抗できる宇宙軍事能力が必要だと述べた。
中国メディアは、ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、反米・反北大西洋条約機構(反NATO)などの親ロシア政権の宣伝工作(プロパガンダ)を積極的に推進している。
ロシアのウクライナ侵攻に対して世界の有力国が一致団結してロシアに壊滅的な経済制裁を加える中、米国はロシア支援を続ける中国企業への制裁も視野に入れ、中露の枢軸を断ち切ろうとしている。